Project/Area Number |
20652030
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Linguistics
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Research Institution | Toyota Technological Institute (2010) Aichi Medical University (2008-2009) |
Principal Investigator |
原 大介 豊田工業大学, 工学部, 教授 (00329822)
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Project Period (FY) |
2008 – 2010
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2010)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2010: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 日本手話 / 日本語対応手話 / 中間型手話 / 媒介手話H / 媒介手話D / 手話 |
Research Abstract |
1. 平成22年度以前に撮影した中間型手話のデータ(約50人分)を「音声・音韻」、「形態・語」、「統語」、「非手指記号・非手指動作」の観点より分析・考察を行った。 2. CL(分類辞)に関する中間型手話データ(22人分)のビデオ撮りを行い、「手型」、「日本語口形の共起の有無」、「反復回数」、「日本語リズムとの対応」の観点より分析・考察を行った。 3. 上記の分析・考察から、聴者が使う中間型手話は、日本手話から形態素や語等を借用している点では日本手話的といえるが、日本手話的非手指動作や統語規則の観点からは、聴者の使う中間型手話は日本手話的特徴をほとんど含んでいなかった。一方で、聴者の中間型手話は助詞等の使用が見られない点では完全な日本語対応手話とは言えないが、文の語順・生成やリズムの観点からは、日本手話的な部分を多く含んでいた。これらの結果は、聴者の使用する中間型手話は、従来から言われているような「日本手話の文法的要素と日本語対応手話(または日本語)の文法的要素が混合した手話」ではないことを示している。すなわち、聴者の使う中間型手話は、日本手話と日本語対応手話(または日本語)の「中間」的存在ではなく、むしろ、文の語順やリズムの観点からは、非常に日本語対応手話的な存在であると言える。本研究では、このような結果を踏まえ、「中間型手話」という曖昧な用語の使用を廃止し、聴者が使用する中間型手話を「媒介手話H」(H=Hearing)、ろう者が使用する中間型手話を「媒介手話D」(D=Deaf)と呼び分けることを提案した。媒介手話Dに関しては今後の研究が待たれるが、本研究では、従来の「中間型手話」は,単なる「混合手話」という一枚岩ではなく,媒介手話Hと媒介手話Dが交錯する場に生じるモザイク模様が,あたかも1つの混合言語のように見えているに過ぎないのではないかという仮説を立てるに至った。
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