Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
本研究は,投影法心理検査の1つに数えられる言語連想検査に体現的認知研究の実験枠組みを応用し,その実証性を高めて新たな検査の開発につなげようとする試みであった。言語連想検査は,言語刺激に対する連想反応の時間と内容を分析するが,反応潜時が重要な指標となっている点で他の投影法にはあまり見られない特徴がある。そしてそれが体現的認知実験との間に類似性をもつため,実験的アプローチによって言語連想検査の理解を深められると考えた。平成20年度の研究によって,体現的認知の実験でしばしば用いられる接近-回避動作は,刺激語との適合性の影響で反応潜時が変動することが示された。そして同時に,それが慣れを生じやすいものでもあるため,少なくともレバー操作による接近-回避動作は被験者にとって特異な意味をもつ刺激語を検出しにくいものであることも示唆された。計画の2年目であり最終年度となる平成21年度の研究では,昨年度の被験者に対する面接を行なうとともに,刺激語に対する特異な反応を検出しやすい動作の探索を継続した。面接から示唆されたのは,特定の刺激語において動作や連想の反応潜時が長くなった理由が,必ずしも被験者自身にとっても明確なものではなく,単に連想が働きにくいと感じられるものもあったということである。従来の研究では刺激語のそうした側面は検討されていないため,今後の研究課題である。次に,体現的認知研究で指摘されてきた動作と認知の適合関係は変更可能であるとする近年の研究(評価的コード化説)を手がかりとして,動作の意味づけが変容する可能性について実験的に検討した。刺激語としての感情語を分類する課題を通じて,対象への評価や態度と結び付いているのは語の意味が肯定的か否かだけではなく,語が示す複雑性などの側面も関連していることが明らかになった。これらを考慮することにより,言語連想検査をさらに発展させられる可能性が示唆された。
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