Project/Area Number |
20653066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Education on school subjects and activities
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Research Institution | Kwansei Gakuin University (2009) Hirosaki University (2008) |
Principal Investigator |
吉田 孝 Kwansei Gakuin University, 教育学部, 教授 (90158452)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 各科の教育 / 音楽科教育 / 階名 / 音階 / 伝統音楽 / 和洋折衷 / 移動ド / 唱法 / 各教科教育 |
Research Abstract |
本研究は、明治期における唱歌教育成立期において「階名」に関する理論がどのように生まれ、展開してきたかについて明らかにしようとするものである。すなわち、次のような仮説を実証しようとするものである。 「階名は日本人にとって西洋音楽を理解する重要な道具であった。また日本音楽の特質を西洋音楽の理論から明らかにするための道具でもあった。その階名のそのような役割は現代においてもかわらない」 本研究によって次のことが明らかになった。 (1)該当する時代の、唱歌教科書、楽譜、理論書などの一次資料及びそれに関連する二次資料をさらに収集分析し、階名が西洋音楽を理解する重要な道具であり、また日本音楽を理解する道具でもあったことが明らかになった。西洋のドレミに代わるものとして、日本では「ヒフミ」が使われたこともあって、後に階名が「機能音高名」と捉えられる混乱があった。しかし、明治期に、瀧村小太郎、上原六四郎らの理論家、鈴木米次郎らの実践家が階名についてほぼ正確に理解し使用していたことも明らかになった。 (2)日本音楽研究においては、必ずしも階名という概念が共通に理解されているわけではないことが明らかになったが、演奏家については、階名を日本音楽の理論を説明するための道具として活用している例があった。音楽教師の世界では、学習指導要領で「移動ド」が原則になってきたにもかかわらず、階名としてのドレミの活用が十分に行われていないことが明らかになった。学習指導要領の改訂で「階名」の定義が明らかになっているが、階名の使用については改善がみられていない。 (3)階名の使用例を国内では琉球地方(現地調査)において、海外では韓国(現地調査)、タイ(文献調査)について調査したが、それぞれの伝統音楽の演奏や理解のために階名が用いられる例がみられた。 本研究全体を通して、階名が西洋音楽を理解するための道具であると同時に、伝統音楽理解にとっても重要な道具であることがより明確になった。学校における階名の指導をどうすすめるかが今後の課題である。なお、本研究の成果は、研究代表者の博士論文「伊澤修二の音律論」(平成22年3月・お茶の水女子大学・博乙第277号)に反映されている(平成22年に公刊予定)。
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