Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
今年度の研究において、リッチ流研究の新たな展開が見出された。すなわち、リッチ流の特異時間における極限空間の把握とともに、ラプラス・ベルトラミ作用素の収束、リッチ流に関係する不変量の収束など、新たな研究の方向の可能性を見出すことができた。これに関連して現在、京都大学数理解析研究所の横田巧氏と共同で研究を行っている。3次元閉多様体上のリッチ流の特異時間における極限空間の把握については、局所的な記述は既に得られている。従って、これを大域化させて直径の有界性を判定すること、およびリッチ流に関係するいくつかの不変量の収束性などを解明することが今後の重要な課題となった。さらに3次元という枠を超えて、リッチ流特異点に関して何が記述可能であろうか?このように当初の研究とは方向性が具なる展開とはなりつつあるが、実現性のある興味深い問題にたどりっいたことは、本研究の大きな収穫といえる。時空間におけるリッチ流と相対論との類似性があるとすれば、この問題はスペクトル幾何的あるいは幾何解析的手法により、相対論における特異点=ブラックホールの一般的な特徴づけが可能になる可能性を秘めている、といえるかも知れない。また本年度め研究において、筑波大学やロンドンにおける、University College London のY.Kurylev氏との議論により、リッチ流に関係する不変量の収束の問題が、極限空間の幾何学的な構造の理解と大きく関係しそうであることも認識できた。このような認識も今年度の本研究の大きな収穫のひとつである。
All 2010 2009 2008
All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)
Proceedings of ICM 2010
Volume: To appear
現代幾何学の発展、別冊数理科学
Pages: 38-46
Proceeding of Hayashibara Forum (印刷中)