Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2009: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2008: ¥2,900,000 (Direct Cost: ¥2,900,000)
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Research Abstract |
研究分担者の所属機関において実際に自動車エンジンの燃費改善に用いられているのと同様の放電方式で得られるマイクロ波プラズマの電子温度,電子密度,ガス温度,および,ガス密度を測定するため,YAGレーザーを光源に用いたトムソン散乱/ラマン散乱計測システムを整備した。東京大学より借用した2重回折格子分光器を用いた本システムでは,迷光レベルが大きく,トムソン散乱信号を得ることができなかったが,窒素分子の回転ラマン散乱信号が明瞭に観測された。 窒素分子の回転ラマン散乱信号の解析から,本大気圧マイクロ波プラズマに関して,平成20年度の発光分光計測では把握できなかった以下の特性が確認された。まず,プラズマ中のガス温度(窒素分子温度)は放電開始後の時間に比例して増加するが,放電開始後1msの時点においては,プラズマ中心部に近い領域におけるガス温度は500K未満と低い。プラズマの中心から離れた領域でのガス温度の増加は緩やかであり,放電開始後3msが経過した時点でも450K程度である。したがって,放電をパルス化してその持続時間を1ms以下とすれば,ほとんどのプラズマ領域でガス温度の上昇を抑制でき,自動車エンジンへの適用に際して窒素酸化物の発生を防止できる。一方,ガス密度(窒素分子密度)の測定では,放電開始後の時間経過に従ってガス密度が低下することが観測された。プラズマの中心に近い領域では,ガス密度とガス温度の積は時間的に一定値を示し,ガス密度の低下がガス温度の増加によるものであると理解できる。しかし,プラズマの中心から離れた領域では,ガス温度の低下が顕著でないにも関わらずガス密度の低下が顕著であり,低温度下における窒素分子の顕著な解離を示している。このことは,プラズマの中心から離れた領域では電子温度の高い非平衡プラズマが得られており,ラジカルの生成が活発であることを示唆するものである。
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