Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
本研究においては,ポリマー1分子あたりわずか1分子のキラル低分子化合物との相互作用により,らせんポリマーのらせん方向制御が高度に制御される現象の理解を通じ,より高度な可逆的らせん構造制御を行おうことを目的としている。今年度は特に,溶媒によってらせん方向を完全に制御することができるポリマーの開発と,そのキラル高分子触媒としての利用について検討を行った。 1.溶媒効果によるらせんの完全反転現象キラル側鎖を有するポリ(キノキサリン-2,3-ジイル)を合成し,その円二色偏光スペクトルを測定したところ,クロロホルムやTHF中ではほぼ100%の右巻きらせん構造を示したのに対し,1,1,2-トリクロロエタン中ではほぼ100%左巻きらせん構造を取ることがわかった。この構造変化は可逆であり,一旦左巻きに変化したらせんポリマーをクロロホルムに溶解すると,再び100%右巻きに戻る。種々の溶媒中におけるらせん方向過剰率について詳細な検討を行った。 2.キラリティーを変化させることができるキラル高分子配位子の開発上記現象を利用して,用いる溶媒によって生成物の絶対配置を制御することのできる,新しいキラル配位子を開発した。トルエン溶液を濃縮して得た高分子配位子をスチレンのパラジウム触媒ヒドロシリル化に用いたところ,溶媒を用いない条件下においてS体の生成物が97%eeの光学純度で得られた。同じ高分子配位子を1,1,2-トリクロロエタン/トルエン中60度で加熱したところ,らせん方向は左巻きに完全に変化し,これを用いて同じ反応を1,1,2-トリクロロエタン/トルエン中で行ったところ,93%eeの光学純度を有するR体の生成物が得られた。
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