Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2009: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2008: ¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
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Research Abstract |
パラフィンは蓄熱効率が高く,高効率の熱輸送システムが期待されるが,乳化剤による乳化方式では高剪断下により乳化パラフィン滴が破壊されてパラフィンと媒体が相分離してしまう。それに対してパラフィンのマイクロカプセル化法ではそのような問題は生じず最も現実的である。しかしながら,奇妙なことにカプセル化によりパラフィンの過冷却の発生や潜熱量の低下が観察されており,この現象は未解明のままである。これらを解消するために,高級アルコールなど高融点試薬を含有させる手法が検討されているが,現象論にとどまっている。本研究では,マイクロカプセル化されたパラフィンの特異な凝固・融解挙動を詳細に検討し,ミクロ空間でのパラフィンの相転移挙動における界面の存在の影響を明らかにする。さらに,独自のマイクロカプセル合成法を熱輸送物質の高効率カプセル化法として確立することを目指している。昨年度は,マイクロカプセル化に伴う潜熱量の低下を抑制/防止することを目的にカプセル壁を構成するポリマーに焦点をあて検討を行った結果,カプセル壁に極性の高い成分を用いることにより,純パラフィンの高い潜熱量を維持したマイクロカプセルの作成に成功した。 本年度は,高い潜熱量を維持し,さらに過冷却が抑制されたカプセル粒子の作製を試みた。極性の高い架橋モノマーを用いることにより,高い潜熱量を維持したほぼ真球状のカプセル粒子を得ることが出来た。これまでの知見から,粒子径がより大きいほど過冷却が抑制されることが期待されたが,これまでの重合処方では,大粒径のカプセル粒子を得ることができなかった。重合条件を詳細に検討した結果,重合は完結し,凝集物もなくカプセル粒子を得ることができる重合処方を見出した。得られたパラフィン含有カプセル粒子中は,純パラフィンの高い潜熱量を維持し,過冷却の程度も半減した,高効率の蓄熱性を有していた。
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