電子ビーム励起プロセシングを対象とした分子シミュレーションの開発
Project/Area Number |
20656058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Electron device/Electronic equipment
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
安田 雅昭 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 准教授 (30264807)
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Project Period (FY) |
2008 – 2009
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
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Budget Amount *help |
¥3,500,000 (Direct Cost: ¥3,500,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2008: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 電子ビーム / ナノ材料 / 電子励起 / 分子動力学法 / 照射効果 / ナノカーボン / 励起プロセシング |
Research Abstract |
電子ビーム励起による材料改質を再現できる分子シミュレーションの開発を行った。電子衝突過程は衝突断面積に基づくモンテカルロ法により分子シミュレーションに導入した。すなわち、衝突の種類を衝突断面積により確率的に決定した。弾性衝突が起こった場合は二体衝突モデルにより照射電子から被衝突原子へ運動量を移行させた。また、非弾性衝突が起こった場合は被衝突原子周辺に一時的に遮蔽クーロン斥力を付加し、電離により電荷のバランスが崩れた状態をモデル化した。被衝突原子はランダムに選択し、電子照射下の構造変化を分子動力学法により追跡した。 また、計算対象となる材料を多元材料に拡張するため、各元素の衝突断面積に基づき衝突を受ける元素を確率的に決定する過程をシミュレーションに導入した。この多元材料への拡張については、シリカガラスを対象に弾性衝突過程についてのみシミュレーションへの導入が終了した。多元材料への非弾性衝突過程の導入は今後の課題である。 開発したシミュレーションによりナノカーボン材料を対象に電子ビーム励起プロセスの解析を行ったところ、高エネルギーでの電子ビーム照射では非弾性衝突(電子励起)過程が欠陥生成を抑制する働きをすることが分かった。低エネルギーでの電子ビーム照射では電子励起過程が欠陥構造を部分的に修復し、再結晶化を促進することが分かった。また、開発したシミュレーションにより電子ビーム照射によるナノカーボン材料加工を試行したところ、電子照射を受けた部位の照射損傷生成が電子励起により抑制され、結晶性の比較的良い状態で材料加工が再現された。これらの知見は実験的に得ることが困難であるため、開発したシミュレーションはナノ材料の電子ビーム加工や改質を原子レベルで理解する上で有効な解析ツールとなることが期待できる。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)