Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2009: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2008: ¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
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Research Abstract |
本申請は,将来的な水素エネルギー社会の実現の際に必要となる高効率の水素貯蔵システム構築の一環として,ハイドレートを利用した迅速かつ高度な貯蔵技術を確立するために従来未達成の速度論的評価システムの開発を行い、貯蔵マテリアルとしての基礎的な指針を導くことを目的としている. 平成21年度においては,THF,シクロペンタンをプロモーターとし,相平衡データの取得と速度論の解析を行った.相平衡データからは,THFと比較してシクロペンタンがより高温域でも安定的に作用する優れた貯蔵マテリアルとなることが判明した.速度論的な解析からは,吸着および拡散過程を考慮し,バルクとのフガシティ差を駆動力としたHydrogen Hydrate Phase Diffusion(HHPD)モデルを構築した.本モデルは形成および分解速度の測定結果を良好に再現可能であることを確認した.このモデルによる定量的な解析を試み,反応速度定数および拡散係数のアレニウスプロットにより吸着・脱着・拡散過程の活性化エネルギーを算出した結果,各過程は発熱・吸熱・吸熱過程であること,そのうち拡散過程の活性化エネルギーが大きいことから拡散律速であることを確認した.さらに吸着・脱着過程の活性化エネルギー,形成・分解過程における拡散の活性化エネルギーは同等であったことから形成・分解過程はリバーシブルの関係であることを確認した.また,Raman分光分析からもハイドレート構造の維持が確認されている.吸脱着耐性を検討するため,3回吸脱着反応を繰り返し行った結果,水素貯蔵量に大きな変化は見られなかった.この実験事実は,本研究にて構築した速度論的解析とモデルによる表現の妥当性を示していた.
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