Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
2004年10月に発生した新潟県中越地震では、40人の死者が生じたが、その内17.5%にあたる7入は「ショック死またはその可能性のある死亡」であり、既往の地震災害において極めて高い比率を示していた。この特異性が何に起因するものかを明らかにすることは、今後の防災対策において重要な視点を与える。そこで本研究では、想定される理由として地震動の大きさ、周期特性を考え、この地震による「揺れ」が人に恐怖感を与える要素を有していたのではないかとの仮説を立てた。その上で、正弦波入力が可能な震動台を用いて、地震動レベルおよび加震周期を変化させることにより、被験者の心拍数、血圧といった生理反応の変化を計測し、人に恐怖感を与える生理的指標値を見出すことを目的とした。本年度は、正弦波入力が可能な震動台を用いて、地震動レベルとしては、気象庁震度階の震度6弱(300gal)、6強(400gal)、7(500gal)およびそれ以上の600gal、700galの5段階を設定し、正弦波の加震周期を新潟県中越地震による長岡市、十日町などで観測された値である、0.3~0.8秒の範囲として被験者による実験を行なった。生理指標としては、心拍、血圧の計測をテレメータによる遠隔測定で行ない、加えて官能評価を実施した。被験者は健康な男女大学生11名(男性8名、女性3名)とした。実験結果によると心拍数、血圧および官能評価による恐怖感のいずれもが、振動周期0.4秒にピークを示し、他の周期との間に統計的有意差を見出した。したがって、今同の計測結果によれば、人に生理、心理的に恐怖感によるストレスを与える振動周期都存在し、具体的な値としては0.4秒周辺であることが明らかとなり、このことが新潟県中越地震におけるショック死の比率の高さと関係することを示唆した。
All 2009 2008
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Proceedings of ICPA2008 (CD-ROM)