Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
繊毛は多くの脊椎動物の細胞に存在し、細胞の運動性や感覚受容において重要な役割を果たしている。繊毛の形成・維持は、微小管を介した繊毛内物質輸送システム(intraflagellar transport : IFT)によるが、その詳細な制御機構に関しては未解明な部分が多い。申請者らは、ある種の低分子量G蛋白質がIFTにおいて必須の役割を担う可能性を想定し、網羅的なプロモーター解析から線虫の繊毛で特異的に発現すると考えられる低分子量G蛋白質を数種同定した。平成21年度はこれらの分子の中で主に小胞輸送・膜融合に関与するArf/Arlファミリーに属する低分子量G蛋白質Arl13および繊毛性疾患Bardet-Biedl症候群(BBS)の原因遺伝子として同定されたArl6について解析し、以下の知見を得た。1.Arl6、Arl13は実際に線虫の繊毛に発現しており、線虫Arl13変異体では、繊毛の異常に起因すると考えられる行動の減少と蛍光色素の取込み異常を見出した。Arl13のヒトホモログであるArl13bは、N末端に存在するArf/Arl相同領域に加えて、約200アミノ酸からなるC末端領域(コイルドコイルモチーフやプロリンに富む領域を含む)を有するというユニークな一次構造を示す。このArl13bも哺乳動物細胞の繊毛に限局して局在するが、Arl13bのN末端のパルミトイル化とC末端に存在するRVxPモチーフがその繊毛局在性に重要であることを見出した。線虫での知見と合わせると、哺乳動物細胞においてもArl13bがIFTにおいて必須の役割を担う可能性が示唆された。2.生化学的な実験から、BBS患者で見出されたアミノ酸置換変異が、これまでに知られている様式とは全く異なった機構で、Arl6のグアニンヌクレオチド結合特性を変化させることを見出した。
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http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~seiri