Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
本研究課題は、遺伝病の化学療法を開発するために(+)-ネガマイシンに焦点を当てた創薬研究を展開するものであった。昨年度までの研究から、不斉を持たないBoc-glycinalを出発原料として(+)-ネガマイシンを効率的に合成するルート(8工程、総収率41%)を確立したことから、今年度は誘導体合成に注力した。異なった立体配置を有する5-epi-negamycinを含む約20種類の誘導体を合成し、活性評価を行った。その結果、陽性対照のゲンタマイシン(GM)より強力なリードスルー活性を示す誘導体は、N3および5-epi-negamycinであった。GMと同程度のリードスルー活性を示した誘導体は、5種あった。N3以外にもリードスルー活性を有する誘導体を同定できたことから、今後の創薬研究展開により、さらに良好なリードスルー活性を有する誘導体の創出が期待できる。一方、誘導体N3は、mdxマウスにおいて血清クレアチンキナーゼ活性を有意に低下させるとともに、免疫組織学的検討からジストロフィン蛋白質の発現を若干誘起した。これらの結果から、N3は強力ではないが、有効に機能し、筋組織の保護効果を発揮できたと思われる。また、N3投与は、mdxマウスの体重減少を惹起しなかったことから、ネガマイシンよりも毒性が低いことが示唆された。今後、実際のジストロフィン発現量等の測定が必要であるが、毒性が低いことから、医薬品としてのさらに高次の評価を行う価値のある分子である。このような新規化合物が創製できたことは、2年間に渡って実施した本挑戦的萌芽研究の成果である。我々は、今後も本創薬化学研究を継続し、様々な誘導体を合成し、その構造活性相関研究から活性発現に必要な官能基の同定やネガマイシンの機能発現機構解明を実施する。そして、世界のために筋ジストロフィー治療薬創製を成功させたい。
All 2010 2009 2008
All Journal Article (5 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (10 results)
Tetrahedron 66
Pages: 314-320
Peptide Science 2009 2009
Pages: 317-318
Peptides 2009
Pages: 278-279
Chemical Communications 2008(20)
Pages: 2379-2381
Peptide Science2007 2007
Pages: 163-164
10021906785