がんの微小環境によるホルモン受容体制御と内分泌がんの生存機構
Project/Area Number |
20659024
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Medical pharmacy
|
Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
清宮 啓之 Japanese Foundation For Cancer Research, 癌化学療法センター分子生物治療研究部, 部長 (50280623)
|
Project Period (FY) |
2008 – 2009
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2009)
|
Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2009: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
|
Keywords | 前立腺 / がん / アンドロゲン / ホルモン / 内分泌療法 / 細胞増殖 / 分子標的 / 創薬 |
Research Abstract |
我々は昨年度までに、細胞内外イオン動態や小胞体ストレスなどのがん微小環境を制御する薬剤が、前立腺がん細胞の生育に必要なアンドロゲン受容体(AR)シグナルを抑制することを見出した。今年度、これらの薬剤の中から天然物質ナイジェリシン(nigericin)に着目し、そのARシグナル阻害作用の分子機序について検討した。ナイジェリシンは、元来イオノフォアとして作用することが知られているが、同作用濃度よりも100倍以上低濃度においてAR依存的PSA(prostate specific antigen)プロモータ活性を抑制した。これと一致し、ナイジェリシンは前立腺がんLNCaP細胞におけるアンドロゲン依存的PSA産生・細胞増殖を抑制した。さらに、ナイジェリシンはARmRNAレベルを選択的に低下させることが明らかとなった。CMVプロモータ支配下で発現させた外来ARによるPSAプロモータの活性化は、ナイジェリシンによって軽微にしか抑制されなかったため、同薬剤は主に内在性ARの発現低下を介してARシグナリングを抑制するものと考えられた。一方、内分泌療法後に生じる再燃性前立腺がんは、ARの増幅や変異を介してアンドロゲン非依存的に増殖する。我々は再燃性前立腺がん22Rv1細胞に見られる短鎖型アンドロゲン受容体(tAR)が、ARシグナリングを常時作動させ、同細胞のアンドロゲン非依存性増殖に寄与することを確認した。重要なことに、ナイジェリシンは22Rv1細胞のtARの発現量を低下させ、アンドロゲン非依存性増殖を抑制した。AR陰性の前立腺がん細胞DU145は、LNCaPや22Rv1と比してナイジェリシンに抵抗性を示した。以上より、AR発現をmRNAレベルで低下させる薬剤は、再燃性前立腺がんに認められる異常ARの働きを遮断し、予後不良である同疾患の有効な治療薬として利用できる可能性が示唆された。
|
Report
(2 results)
Research Products
(30 results)