Research Project
Grant-in-Aid for Challenging Exploratory Research
当研究の目的は、遺伝子発現効率の良いレトロウイルス発現系を用いて、主に造血器腫瘍に関与するマウスmicroRNA(miRNA)を同定し、新規の発癌分子機構を明らかにするとともに、新たな治療法の開発に応用することである。我々はまず、MLL(Mixed Lineage Leukemia)関連白血病の癌化に関連するようなmiRNAの探索から開始した。最初に、4-hydroxytamoxifen(4-HT)の除去によりMLL-ENL(-Estrogen Receptor(ER))の作用を消失させた時に、造血細胞において発現レベルが変化するmiRNAをmicroarrayにて探索した。その結果、miR-XXX(未発表データ)の発現上昇が観察され、real time PCR法にて、確認した。miR-XXX自体は癌抑制遺伝子的に働いている可能性が考えられる。即ち、癌遺伝子的に働く遺伝子の発現を抑える遺伝子である可能性が高い。次に、MLL-ENLでtransformした細胞におけるmiR-XXXの強発現や、造血細胞におけるmiR-XXXのノックダウンの表現型を解析し、その標的遺伝子を明らかにする目的で、U6プロモーターを用いた、shRNA発現用のレトロウイルスself-inactivationベクターを構築した。現在、miR-XXXの機能解析を行い、引き続き、他のmiRNAの探索・機能解析も行っている。上記shRNA発現用レトロウイルスベクターは初代培養細胞などで特定の遺伝子を手軽に恒常的にノックダウンさせ、当該遺伝子機能を解析する際にも役立つ。実際、純化した造血幹細胞を用いて、それらの細胞において特異的に発現している遺伝子を複数同定したが(未発表データ)、それらをノックダウンすることにより、造血幹細胞における癌遺伝子発現による癌化が部分的に抑制されることが判明した。miRNAを含めた統合的遺伝子機能解析が造血器腫瘍発生機構の解明にとって重要である。
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