Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
無脊椎動物から高等脊椎動物まで広く保存されているプロニューラル因子は神経分化開始のスイッチとして機能する。しかし、これら因子が制御する遺伝子に関する知見は未だ乏しい。本研究では、小脳興奮性ニューロンである小脳核ニューロンと小脳顆粒細胞が共通のプロニューラル因子Math1の下流で異なる個性をどのように獲得するか、その解明を目指す。今年度は、交付申請書の研究実施計画に沿って、小脳興奮性ニューロン群の解剖学的知見を得るとともに、プロニューラル因子Math1と小脳興奮性ニューロンに特異的に発現するホメオボックス遺伝子Mbh2の間の遺伝学的な関係を明らかにした。1) 小脳興奮性ニューロンの標識と発達の解析電気穿孔法を用いてレポーター遺伝子EYFPを小脳神経前駆細胞に導入して、小脳核ニューロンおよび小脳顆粒細胞を標識することにより、遺伝子導入時期に依存して標識ニューロンの種類や移動距離・経路が異なることがわかった。2) Mbh2の発現制御機構の解析Math1 siRNAs を生体内電気穿孔法で小脳興奮性ニューロンに導入した結果、Math1の発現低下に伴いMbh2の発現が消失した。逆にMath1の強制発現はMbh2の発現を誘導する。また免疫クロマチン沈降法を用いて、Math1がMbh2ゲノム領域に結合することを示した。以上の結果から小脳においてMbh2がMath1の標的遺伝子であることが明らかとなった(Kawauchi and Saito, 2008)。現在Mbh2遺伝子にLacZを付与したレポーター遺伝子を用い、小脳核ニューロンあるいは小脳顆粒細胞特異的なMbh2エンハンサーを解析中である。3) Math1依存的分化カスケードの更なる同定申請者は別の研究でMbh1、Mbh2の下流候補遺伝子を脊髄において同定しており(投稿準備中)、その結果を踏まえ、現在小脳において解析中である。
All 2008 Other
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Developmental Biology 322(2)
Pages: 345-354
http://www.m.chiba-u.ac.jp/class/dev/index.html