Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2009: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2008: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Research Abstract |
本研究では, 一過性全脳虚血/再灌流(I/R)後の海馬CA1領域神経細胞死とNMDA受容体NR1サブユニットセリンリン酸化に及ぼすmGluR5の関与について検討した. mGluR5拮抗薬であるMPEPを海馬CA1領域へ投与し, I/R後72時間目でこの領域に神経細胞が生じた. MPEPは濃度依存的にこの領域での神経細胞死を抑制した. MPEP30nmolの投与で最大の保護効果が得られた. 次に, I/R後の海馬CA1領域でNMDA受容体NR1サブユニットS890およびS896リン酸化の経時的変化を解析した. これらのリン酸化はI/R後1時間目から増大し, I/R後24時間目まで持続した. MPEP投与はI/R後増大したリン酸化NR1 S890量を43.1%減少させたが, リン酸化NR1 S896量には影響を及ぼさなかった.NR1 S890およびNR1 S896はPKCによりリン酸化される.I/R後のNR1セリンリン酸化機構を解明すべく, NMDA受容体が高密度に存在するシナプス後肥厚部(PSD)を単離し, PKC量をサブタイプ別に解析した.I/R後1時間目に海馬CA1領域で解析を行った結果, PKCγ量が1.7倍増大した. このI/R後のPSDへのPKCγの集積はMPEP投与により抑制された. 一方PKCα, PKCθ量はI/R後変化しなかった. これらの結果は, I/R後のS890リン酸化の増大にmGluR5を介したPKCγ集積機構が関与する可能性を示している. MPEPによる神経保護効果の発現メカニズムは明らかとされていないが, 一部は上記に述べたようなNR1リン酸化機構調節が働いていると考えられた. 以上, 本研究はI/R後の海馬神経細胞死機序の一端を解明し, mGluR5アンタゴニストが有用な脳虚血保護薬となり得る可能性を提示した.
|