Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
【目的】直腸肛門奇形モデルマウスを利用して肛門形成に重要な発現シグナルを発生学的に検索した。【方法】実験モデルは胎生9.5日にATRA(All-Trans Retinoic Acid)100mg/kgをCD-1(ICR)マウスの母胎に経口投与することで得られるレチノイン酸投与マウス、およびSd(Danfoerth's short tail)マウスを使用した。両モデルマウスにおいて発生学的に直腸肛門奇形の原因を経時的にHE染色で観察し、発現シグナルをin situ hybridizationにて検出した。【結果】本実験においては両モデルマウスとも胎生10.5日より始まるcloacal plateの背側への伸長がみられず、このことが両モデルマウスの直腸肛門奇形の原因であると考えられ、胎生10.5日の遺伝子発現が形態形成に重要であると考えた。胎生10.5日においてSdマウスではcloacal plateにおいてShhの発現が低下していたが、レチノイン酸投与マウスでは変化はなく、SdマウスではShh-Gliシグナル伝達系が直腸肛門奇形の原因のひとつと考えられた。さらに、両モデルマウスは前後軸形成異常が認められるため前後軸形成に関わりShh-Gliシグナル伝達系と密接な関係にあるWnt-β-カテニン系の細胞増殖シグナルの変化がcloacal plateの背側への伸長に関わるのではないかと考えた。そのシグナル伝達の際に上昇するAxin2の発現はWTマウスのcloacal plateの腹側にみられたが、Sdマウス、レチノイン酸投与マウスの両マウスでAxin2の発現が低下しておりcloacal plateの伸長にWnt-β-カテニン系のシグナルの関与が考えられた。【今後の計画】今後はWnt5aモデルマウスを使用し、さらに原因検索を探究する。Wnt5aのモデルマウスはジャクソンラボラトリーから購入し、現在繁殖中である。
All 2008
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