Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
本年度は、放物線パルスの精密な合成とそのパルスのファイバ中の伝搬特性の評価とを主眼として研究した。まずはシミュレーションにより振幅・位相制御の基礎パラメータを算出した。光パルスシンセサイザで十分合成可能な放物線パルス幅について、20psから28psのパルス幅であれば精密な合成が可能であることを見積もった。続いて、実際に光パルスシンセサイザを用いて放物線パルスを合成した。縦列接続した2台の位相変調器から出射した光周波数コムを、光パルスシンセサイザにより強度と位相のスペクトルを調整し、繰り返し12.5GHzの放物線パルスを合成した。パルス幅は設定パルス幅28.3psの放物線パルスが最も精密に合成できた。設定値とのずれの平均二乗偏差(RMS)は0.026であった。これ以降の実験では28.3psのパルス幅を用いた。次に合成した放物線パルスを光ファイバに伝搬させ、放物線パルスの特性を実験的に評価した。この放物線パルス(Peak Power=O.03〜1W)をSMF(分散値D=17ps/nm/km)及びDSF(零分散波長:1557nm)に入射した。分散が存在すると伝搬に伴いパルス幅は短くなり、またパルス波形は伝搬に伴い放物線形状から崩れることがわかった。一方、零分散付近では非線形効果の影響がなければ30km伝搬後も放物線形状を維持するが、Peak Powerが高くなるに伴い波形が劣化することがわかった。