Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
花粉管ガイダンスは、植物の生殖や穀物の生産を支える重要な機構である。本研究では、in vitro花粉管ガイダンス実験系のモデル植物Torenia fournieriを用いて明らかになりつつある花粉管ガイダンス因子の知見をふまえ、その分子が野生の植物種ではどのような分子進化を遂げ機能しているか、明らかにすることを目指した。本年度は、まず、日本国内や東南アジア諸国からTorenia属植物を4種、Lindernia属植物を3種採集し、研究室で栽培し実験系統として使用できるよう整えた。さらに、近年当研究室の研究により明らかとなった、Torenia fournieriにおける花粉管ガイダンス因子TfCRP1のホモログ遺伝子をこれらの近縁植物から単離することに成功した。組織別RT-PCRの結果、このホモログ遺伝子はいずれの植物種においてもめしべ組織で発現していたことから、花粉管ガイダンスに関わる可能性が強く示唆された。ホモログ遺伝子の産物においてアミノ産の同義・非同義置換数を調べたところ、いずれのホモログでも非同義置換が多く見られた。このことは、この遺伝子の分子進化において正の選択がかかっていることを示唆している。本研究により、世界で初めて花粉管ガイダンス因子の候補が複数の種から単離された。今後は別種由来のこれらのホモログ遺伝子を他の植物に形質転換することにより、花粉管ガイダンスの違いにより後輩不可能であった種間での生殖隔離の打破に繋がると期待される。また、この遺伝子が積極的にアミノ酸を置換させるよう分子進化をしていたことから、花粉管ガイダンスが種の維持と進化に重要な役割を果たしている可能性が明らかになった。
All 2009 2008
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (10 results)
Nature 458
Pages: 357-361