Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
複雑な生命現象の解析には、細胞や動物が生きている状態で標的となる分子の挙動を解析・操作することが必須である。このような研究を行うために、蛍光プローブや増感剤を始めとする「光機能性分子」がこれまでに数多く開発されてきたが、これらの分子を実際の細胞に適用する場合、プローブ自身の局在に由来するバックグラウンドのシグナル(=環境感受性)がしばしば問題となっていた。研究代表者は、蛍光性ランタノイド錯体における光誘起電子移動という物理化学的な現象を適切に制御することにより、適切な環境下でのみシグナルを発する"intellige"な光機能性分子の開発ができれば、この問題が解決されるのではないかと考え研究を行った。具体的には、可視光領域に吸収・蛍光を有する代表的な蛍光団の一つであるBODIPY誘導体と、ランタノイド錯体(DTPA-Ln)とをアミド結合を介して直接結合させた化合物を各種合成し、それらの蛍光特性について検討を行った。これらの化合物は、研究代表者がこれまでに開発を行ってきた錯体と比較して強い蛍光を有しており、生物応用への可能性が期待される。更に、測定溶媒を変化させた実験から、BODIPY由来の蛍光とランタノイドイオン由来の蛍光との比が環境に応じて変化する場合があることが明らかとなり、適切な環境下においてのみシグナルが変化する錯体の開発に向けて有意義な知見が得られた。このような分子に開する報告はこれまでに無く、光機能性分子の新たな展開に向けた画期的な研究成果であると考えられる。
All 2008
All Presentation (2 results)