Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
近年、低体重児早産と歯周病との関連性が報告されている。また子癇前症を有した症例の胎盤の半数で歯周病原細菌を検出したとの報告もある。母体血中のIgGは、胎盤を介して胎児の血中へ運ばれる。このことが、まだIgGを作れない胎児および新生児の感染防御にとって極めて重要である。白血球に広く分布する抑制性IgG受容体であるFcγR II bは、胎盤血管内皮細胞にも発現している。本研究における目的は、ヒト胎盤においてFcγR II bおよび歯周病原細菌抗原の局在を解析し、歯周病と妊娠予後の関連性において胎盤IgG輸送の果たす役割を明らかにすることである。新潟大学医歯学総合病院にて分娩した妊婦の胎盤組織を採取し、凍結切片を作成し、免疫組織化学(マウス抗ヒトFcγR II bモノクロナール抗体、ウサギ抗Porphyromonas gingivalis外膜タンパクIgG抗体等)にて局在を検討した。また分娩後5日以内に全顎的な歯周組織検査、細菌検査を行った。本研究は本学倫理委員会の承認のもと十分な説明の後、書面による同意を得られた場合のみを対象に行った。絨毛膜羊膜炎を有した低体重児胎盤において、FcγR II bは絨毛内皮とBリンパ球に認められた。グラム染色ではグラム陽性細菌、グラム陰性細菌ともに、主に毛細血管内で認められた。今回、胎盤組織でPorphyromonas gingivalis外膜タンパクは検出されなかった。これらの所見において、胎盤組織の毛細血管内皮細胞で認められるFcγR II bがIgG輸送に関与しているが、免疫複合体は輸送しないことが推測される。今後、更なる解析においてヒト胎盤におけるFcγR II bの役割を検討していく必要がある。
All 2008
All Presentation (2 results)