Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
Wnt1-Cre/R26Rマウスの顎下腺にX-ga1染色を行うと、間葉組織はβ-galactosidase陽性であったが、その一方で上皮組織は陰性であった。この結果はほとんど全ての間葉細胞は頭部神経堤由来細胞であることを示している。マウス顎下腺ではPDGF-Aは主に上皮に発現し、PDGF-Bは間葉に発現する。PDGFの受容体であるPDGFα受容体とPDGFβ受容体は、ともに間葉に発現しPDGFの結合によりそのシグナルを細胞内に伝達する。マウス顎下腺の器官培養において、PDGF-AAあるいはPDGF-BBを添加すると、その受容体は間葉に存在しているのにも関わらず、唾液腺組織の上皮細胞増殖が亢進し、分岐形態形成が促進された。対照的に、PDGF-A及びB siRNAを用いてPDGF mRNA発現の抑制を行なった場合、上皮組織での細胞増殖が抑えられ分岐形態形成が減少した。また抗PDGF-AB及びBB抗体を用いてPDGF機能の抑制を行なった場合も同様の結果が得られた。この結果から、間葉におけるPDGFシグナル伝達によって何らかの分子が誘導され、この分子が上皮組織に作用しているのではないかと仮説を立てた。現在までで、間葉組織に発現する増殖因子で、上皮組織の増殖を促進する因子としては繊維芽細胞増殖因子(FGF)が報告されている。そこでPDGFシグナルとFGF発現の関係について解析を行った。マウス顎下腺の器官培養において、PDGF-AAはFGF3とFGF7の発現を誘導し、PDGF-BBはFGF1、FGF3、FGF7及びFGF10の発現を誘導した。その一方でPDGF-A及びB siRNAはFGF3、FGF7、FGF10の発現を抑制した。この結果は、PDGFが顎下腺間葉におけるFGFの発現を制御していることを示唆している。
All 2008
All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)
Journal of Biological Chemistry 283
Pages: 23139-23149