Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (Start-up)
近年、瘢痕形成関与遺伝子としてOPN(Osteopontin)を同定し、更にOPNを標的とした核酸医薬の開発に至り、炎症反応と組織修復の分子メカニズムの一端を解明した。しかしながら、他の瘢痕形成関与遺伝子及び他の分子メカニズムの存在が示唆されているが明らかではない。近年、蛋白質に翻訳されないと考えられていた多数のDNA配列がncRNA(non-cording RNA)として転写され、蛋白質発現制御に関与していることが明らかになった。ncRNAの中でもmiRNA(mic roRNA)は、標的mRNAに作用して遺伝子発現制御に関与する分子として知られている。いくつかのmiRNAは、炎症反応特異的に誘導されることが明らかにされていることから、皮膚創傷治癒過程においても、何らかの役割を担っていると考えられるが、未だ同定されていない。そこでまず初めに、炎症反応によって発現誘導されるmiRNAとして知られているmiRNA-132、-146a、-155の皮膚創傷治癒過程における発現動態を、成体マウスを用いて調べた。その結果、受傷後1、3、7日目において、上記miRNA群の発現が認められた。次に、既知および未知miRNA群の網羅的同定を行うため、コントロール(傷無)、受傷後1、3、7、10、14日目において発現誘導されるmiRNA群のクローニングを行った。その結果、各時間帯において、発現誘導されるmiRNA群のクローニングに成功した。