Research Abstract |
本研究では,校内でアクションリサーチを展開する上での条件を,問題確定段階,問題改善段階,評価・分析段階において明らかにすることを目的とした。具体的には,筆者自身と同僚教師の2つのアクションリサーチを授業リフレクション法を用いて行い,その過程から実証的に条件を明らかにしようした。アクションリサーチサイクルは,1学期を問題確定段階,2・3学期を問題改善及び評価・分析段階と設定した。結果として,自己のアクションリサーチでは校内の共同研究者の他に,校外の指導主事経験者による授業VTR視聴による授業リフレクションを取り入れたことで,「児童の問題意識を高める授業設計」「メリハリのある授業を展開するための教授スキル」における問題が明らかになり,「児童の立場に立つ」という視点から授業改善を図る必要があることが確認された。同僚教師のアクションリサーチでは筆者が共同研究者として関わり,同僚教師自身が挙げた問題と筆者が分析した同僚教師の問題意識を間主観的に検討し,「子どもの考えを正しく見取ることができていない」「ねらいを明確にした上での授業構成ができていない」「何を考えればよいかわかる発問ができていない」という問題が確認された。2つのアクションリサーチから,問題確定段階では授業者自身の認識と共同研究者または第三者による評価を間主観的に検討することで授業者自身がメタ認知し,問題を確定できること,問題改善段階では授業者と共同研究者が同意できるまで改善策・改善の基準を検討し,それに基づいて授業を実施することで授業改善に当たれること,評価・分析段階では授業データを基に対話を通してリフレクションすることで問題が授業者自身に自覚化されたり焦点化されたりすることが明らかになった。また,アクションリサーチサイクルを回していくことが,次のアクションリサーチの原動力となっていくことが示唆された。
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