Project/Area Number |
20929025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
医学Ⅱ(基礎医学)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
堀 紀代美 Nagoya University, 医学部附属病院, 理学療法士
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Project Period (FY) |
2008
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2008)
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Budget Amount *help |
¥580,000 (Direct Cost: ¥580,000)
Fiscal Year 2008: ¥580,000 (Direct Cost: ¥580,000)
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Keywords | 虚血性疼痛 / 機械的痛覚過敏 / 末梢性動脈閉塞症 |
Research Abstract |
【目的】末梢性動脈閉塞症(PAD)でみられる四肢の虚血に起因する慢性疼痛のメカニズムを明らかにするため、下肢の動脈を結紮して血流を阻害した下肢虚血モデル動物を作成し、皮膚及び筋の痛覚の変化についての行動学的、組織学的に検討した。 【方法】全身麻酔下でラットの左総腸骨動脈および左腸腰動脈を結紮し、血流を阻害して下肢虚血モデルラット(CLI群)を作成する。対照群では両動脈の露出のみ行った。下肢の虚血を評価するためにレーザードップラー血流計を用いて下肢の皮膚血流の測定および足底部の皮膚温測定を行った。さらに、下肢の動脈結紮による痛覚への影響を調べるため、皮膚の痛覚は機械的痛覚試験として足底でのvon Frey test、熱痛覚試験としてPlantar testを行った。筋の痛覚は、下腿後面(腓腹筋表層)でのvon Frey test、腓腹筋へのランドル・セリットテストで評価した。また、歩行能力について調べるためにトレッドミルを用いて跛行出現距離および最大歩行距離の評価を行った。 【結果】CLI群の左下肢では対照群と比較して処置後、皮膚血流の低下および足底部の皮膚温の低下が認められ、チアノーゼ、足底部の褥瘡が観察された。CLIラットは処置後7日まで皮膚の痛覚過敏が認められ、腓腹筋の圧痛閾値の低下は術後21日まで認められた。熱に対しては変化を認めなかった。歩行についてCLI群は跛行が出現し、12週後でも歩行距離が減少した。 【研究成果】本モデルではPADの重症虚血肢に近い症状が観察された。また、皮膚と筋の痛覚過敏が引き起こされ、筋の痛覚過敏は皮膚よりも持続する特徴を得た。昨年度に実施した左総腸骨動脈のみ結紮のモデルに比べて痛覚過敏が長期間認められ、より臨床的な慢性モデルへの改良に成功した。さらに、今回、間歇性跛行の長期的な出現を発見した。これらより、PADの臨床症状にかなり近い症状を慢性的に呈するPADモデルラットが作成できた。今後、この動物モデルを用いて下肢虚血における慢性疼痛のメカニズムの解析が実施可能と考えた。
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