Project/Area Number |
20H00076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 7:Economics, business administration, and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
照山 博司 京都大学, 経済研究所, 教授 (30227532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 斉 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (00209545)
今井 晋 一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 教授 (10796494)
神林 龍 武蔵大学, 経済学部, 教授 (40326004)
太田 聰一 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (60262838)
菊地 雄太 大阪大学, 社会経済研究所, 特任助教(常勤) (60782117)
岡崎 哲二 明治学院大学, 経済学部, 教授 (90183029)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥43,160,000 (Direct Cost: ¥33,200,000、Indirect Cost: ¥9,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥6,370,000 (Direct Cost: ¥4,900,000、Indirect Cost: ¥1,470,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2021: ¥12,480,000 (Direct Cost: ¥9,600,000、Indirect Cost: ¥2,880,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
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Keywords | 転職市場 / キャリア形成 / 転職仲介 / 技能とタスク / マッチング理論 / 職業選択 / 政策評価 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、キャリア形成の場としての日本の転職市場の効率性評価、具体的な効率的転職仲介事業モデルの提案、効率的転職市場整備のための政策提言、の3つである。研究全体を通じて、長期雇用慣行に代わり、転職を通じたキャリア形成を効率的に進める労働市場のあり方とそのために有用な政策を、実証と実験に基づく経済理論によって考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
転職情報を含む大規模パネル調査を用いた研究を継続した。これまでに実施した新型コロナウイルス感染症拡大が転職市場や転職行動に与えた影響の実証分析を、経済回復期へ追跡的に拡張し継続した。同パネル調査を用いた転職とタスクに関する分析も継続している。成果の一部は英文書籍の章として2024年度に刊行予定である。 民間転職仲介企業の協力のもと、業務データの提供を受け、転職過程と転職仲介に関する研究を継続している。本年度は、以下の進展がみられた。 まず、求人企業が提示する年収の下限・上限と、成立した契約年収の分布との関係を調べ、提示年収の下限と上限が、各々、契約賃金分布の下部と上部を制約することを示した。この結果を受けて、労働者のスキルと企業のスキル集約度の多様性を含む生産関数を想定したサーチ・マッチング・交渉モデルによって、企業の均衡交渉年収に下限、上限が存在することを示し、さらに、企業が事前に均衡年収の下限・上限を提示すると、均衡において労働市場の摩擦から生じる失業が減少し、労働者と企業双方の厚生が上昇することをシミュレーションによって示した。 また、求職者の探索行動を詳細に分析し、次の実証結果を得た。求職期間が長くなるにつれて、1.コンタクトをとる企業の提示年収の下限と上限が高くなり、それに対応して契約年収も高くなる;2.ひとつの企業とコンタクトを維持する期間が短くなる;3.求職強度(データ上は一定期間内に閲覧する求人数)は当初は下がっていくが、やがて一定となる。以上から、求職期間の長短によって、求職強度、候補企業の考慮期間等に異質性があることがわかった。この分析を通じて、従来明らかになっていなかった転職サーチプロセスの解明が期待される。 並行して、代表者及び各分担者は、分担する研究課題に直接関連する各自の研究を推進し、成果を学術誌や専門書等で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国就業実態パネル調査(JPSED)」(リクルートワークス研究所)とその特別調査に基づいて、新型コロナパンデミックが日本の就業と転職に及ぼす影響に関する研究を継続している。転職仲介企業の協力のもと、詳細な業務データの提供を受け、構築したデータベースに基づいて、代表者とこの分析に携わる分担者が、協力企業の担当者とともに、定期的に研究会を開催しつつ、具体的な分析作業が進展している。「労働力調査」、「職業安定業務統計」等の政府統計の公表データや個票データによって、労働移動、転職、職業紹介等に関する研究が進んでいる。 本研究プロジェクトと分析手法または研究テーマにおいて関係の深い分野で、代表者及び各分担者が個人及び共同研究を実施し、成果の一部は、国際的学術誌、ディスカッションペーパー、学会報告などの場で公表されたほか、一般に向けてウェブサイトなどで発信された。
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Strategy for Future Research Activity |
転職行動、転職仲介などの転職市場研究に関しては、スキル、タスク、賃金との関係に着目した分析を継続する。 「労働力調査」、「就業構造基本調査」などの政府統計のミクロデータの利用を申請のうえ可能とすることに努め、大規模な公的統計に基づく転職市場の実態解明を目指す。また、公的な転職プラットフォームの特徴を、「職業安定業務統計」の公表データなどを用いて分析し、最低賃金の変化が求人数・求職者数の変化を通じてマッチ数(就職者数)にどのような影響を与えるか等を検討する。 転職仲介業務データの分析については、マッチング・交渉プロセスのスタートから妥結までの変化をも取り入れた分析を進める。企業の提示賃金に関する研究では、構造推定の手法を用いて本年度に構築したモデルのパラメータを用いて推定し、データと推定されたモデルを使って、従来の「最低賃金」の効果を再検討する。その際に、政府の決定する最低賃金が、企業の提示する年収の下限(最低賃金と同様の機能を持つ)と上限に与える効果も踏まえた上で、どのように均衡賃金に影響を及ぼすのかを研究する。また、転職前後の年収変化に影響する諸要因を、多種多数な求人要件、求職者属性、それらの組み合わせのなかから、機械学習等の手法を使って特定し、とくに量的な評価を試みる。 研究の進捗過程で、データ提供元企業の担当者とも研究結果を共有し、実装的検証に向けた展開を図る。
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