Project/Area Number |
20H00191
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狩野 彰宏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60231263)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 真子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (00749963)
仙田 量子 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (50377991)
坂井 三郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 主任研究員 (90359175)
柏木 健司 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (90422625)
奥村 知世 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 准教授 (90750000)
齊藤 諒介 山口大学, 大学院創成科学研究科, 助教 (90772385)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥44,720,000 (Direct Cost: ¥34,400,000、Indirect Cost: ¥10,320,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,190,000 (Direct Cost: ¥6,300,000、Indirect Cost: ¥1,890,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,060,000 (Direct Cost: ¥6,200,000、Indirect Cost: ¥1,860,000)
Fiscal Year 2021: ¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2020: ¥10,400,000 (Direct Cost: ¥8,000,000、Indirect Cost: ¥2,400,000)
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Keywords | 石筍 / トゥファ / 古気候学 / 炭酸凝集同位体 / レアアイソトープ / 古気候 / 第四紀 / 完新世 / 中期完新世 |
Outline of Research at the Start |
石筍などの陸上で生成する炭酸塩沈殿物は過去の気候条件の貴重なアーカイブである。本研究ではこれに最新鋭の同位体分析法を適用し,石筍やトゥファの分析結果から過去12.5万年間の気温と降水量の記録を定量的に復元する。その上で,これらの記録を気候変動予測に役立てる。特に,今より温暖だった完新世最暖期(5~7千年前)と最終間氷期(12.5万年前)の記録は,気温変動と降水量変動の関連性を検証し,今後温暖化する日本列島での長期的降水量予測と,防災等の政策立案に生かされると期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではこれまで測定されてこなかった2つのレアアイソトープ(炭酸凝集同位体と17O異常)を日本列島で採集した石筍とトゥファに適用し,過去10数万年間の気温と降水現象を定量的に復元することにある。 今年度は鹿児島県徳之島,沖縄県石垣市,福岡県北九州市,群馬県下仁田町などにおいて石筍とトゥファの調査を行った。採集した試料については,酸素・炭素安定同位体比,炭酸凝集同位体などの測定に加え,X線CTスキャンを用いた3次元微細構造の観察を行った。また,いくつかの石筍試料についてはウランートリウム法による年代測定を行い,良好な試料を選別した。 信頼度が高い年代モデルは徳之島で採集した石筍およびトゥファ,岐阜県郡上市の石筍な得られた。そこで,これらの試料を用いて,高解像度の同位体分析を行い,気温と降水量に関する情報を抽出することができた。また,赤外線レーザー分光型を用いた研究では基礎実験を繰り返し,微量の炭酸塩試料から酸素・炭素安定同位体に加え,17O組成を0.1パーミルの精度で測定できることがわかった。さらに,石筍古気候学で重要な情報になる雨水の同位体分析も行った。中国やヨーロッパで見られる降水酸素同位体の量的効果(強い雨ほど酸素同位体比が低くなるという傾向)は新潟県糸魚川市や福岡県福岡市では確認されたが,岐阜県大垣市や三重県大紀町では認められなかった。 得られた研究成果のうち,1) 岐阜県郡上市の石筍の炭酸凝集同位体を用いた,過去6.4万年間の平均気温変化と降水の酸素同位体比の変化を復元した結果と, 2) 赤外線分光装置を用いた同位体分析方法についての結果を国際誌に公表することができた。 また,測定試料を土壌成炭酸塩沈殿物にも拡張した。熊本県上天草市と佐賀県唐津市で採集したサンプルの結果は土壌性堆積物から始新世にアジア大陸東部地域において明確な湿潤化が起こったことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は石筍とトゥファを用いた日本列島での古気候解析であり,その点において岐阜県郡上市の石筍について公表した論文では,従来の分析方法に加えて炭酸凝集同位体を併用することで,石筍に保存される気温と降水量の情報を最大限に復元できたと評価できる。 また,赤外線レーザー分光計を用いた分析方法でも開発面で大きな進展があった。今年度開発した装置では0.01ミリグラムの炭酸塩粉末から酸素・炭素同位体比に加え17O異常も0.1パーミルの誤差で測定できるようになった。この技術的な進展は,分析解像度の向上に大きく貢献すると思われる。 トゥファの研究では,鹿児島県徳之島のサイトにおいて継続的な調査を積み上げている。この野外調査で積み上げたデータと,トゥファ試料の分析結果を来年度には公表できる準備が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は群馬県下井田町や静岡県浜松市で採集した石筍試料に加え,鹿児島県徳之島のトゥファ試料についてレアアイソトープを含めた高解像度の同位体分析を進める。また,年代モデルを確立するために,台湾大学の沈川洲教授の研究室においてウランートリウム年代測定を行う予定である。 赤外線レーザー分光法については,凝集同位体が測定可能な波長を持つレーザー素子を準備し,装置システムの高度化を進める予定である。 以上の研究により得られた成果は国際誌に論文として投稿していく。
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