Project/Area Number |
20H00196
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 17:Earth and planetary science and related fields
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
坂井 亜規子 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (40437075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 朋範 気象庁気象研究所, 気象予報研究部, 主任研究官 (20509989)
竹内 望 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (30353452)
青木 輝夫 国立極地研究所, 北極観測センター, 特任教授 (30354492)
的場 澄人 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (30391163)
松井 仁志 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (50549508)
大畑 祥 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 助教 (70796250)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥45,370,000 (Direct Cost: ¥34,900,000、Indirect Cost: ¥10,470,000)
Fiscal Year 2024: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,450,000 (Direct Cost: ¥6,500,000、Indirect Cost: ¥1,950,000)
Fiscal Year 2022: ¥6,110,000 (Direct Cost: ¥4,700,000、Indirect Cost: ¥1,410,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,460,000 (Direct Cost: ¥4,200,000、Indirect Cost: ¥1,260,000)
Fiscal Year 2020: ¥20,280,000 (Direct Cost: ¥15,600,000、Indirect Cost: ¥4,680,000)
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Keywords | 光吸収性不純物 / 氷河 / 鉱物粒子 / 黒色炭素 / 雪氷微生物 / 氷河質量収支 / 鉱物 / 有機物 |
Outline of Research at the Start |
アジア高山域において氷河は水資源としての重要な役割を持つが、近年の温暖化による氷河縮小による将来の水資源枯渇が危惧されており、氷河の将来予測を高精度にすることが求められている。氷河の融解に影響を与えるのは気温のみではなく、氷河表面の不純物が日射量の吸収を促進し、融解を加速させることが知られており、氷河変動モデルの高精度化には不純物の影響を考慮することが鍵となる。本研究では代表的な氷河上不純物として鉱物粒子、黒色炭素、雪氷微生物の3つに着目し、氷河表面における各不純物の量の変動、そして各不純物濃度と日射の吸収率との関係についてについて明らかにし、氷河変動流出モデルの高精度化を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
氷河の表面アルベド(反射率)は、氷河表面に存在する鉱物や黒色炭素等の不純物によって値が下がり、日射を吸収しやすくなる。さらに、氷河消耗域では、氷が日射の吸収によって粒界などが融解し、氷が大きな雪粒のような多孔質体(風化氷)となり、この風化氷のため光は散乱され、さらに不純物が氷粒によって隠されるために、アルベドが高くなる作用が働くと考えられる。しかし、これまで実際の氷河においてアルベドと不純物量、風化氷の三者の関係は観測されたことが無かった。 今年度と昨年度とられたデータを用い、アルベドに対し、鉱物量、有機物量、風化氷厚さがどのような相関関係であるかを解析したところ、鉱物量、有機物量は量が多いほどアルベドを下げる効果があるのに対し、風化氷は厚さが厚いほどアルベドが高くなることが確認された。 さらに、アルベドと3要素(鉱物量、有機物量、風化氷厚さ)の単回帰分析、アルベドを目的変数、3要素を説明変数とした重回帰分析を行うと、アルベドの違いは特に有機物量によって決定していることが明らかになった。 また鉱物量、有機物量の吸収係数を測定した透過率から求め、観測対象となっているポターニン氷河における鉱物量、有機物量の典型的な量を使い、単位面積当たりのそれぞれの吸収量を求めたところ、量的には鉱物量が圧倒的に多いが、有機物の吸収係数が大きく、鉱物の吸収係数が小さいため、放射の吸収量としては有機物が最も効いているという結果になった。上記の回帰分析結果を矛盾なく説明できる結果となり、観測対象としている氷河のアルベドに対する影響は有機物が最も大きいことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、最初の2年間観測に行けず、全く観測データをとることができなかったため、遅れ気味である。しかし、観測2年目の2023年度は様々な観測データを所得することができた。2022年度のデータから、対象とする氷河表面は鉱物量が重量的には多いことが明らかとなった。2023年度は氷河表面鉱物のソースを観察することができ、2024年度には鉱物ソースの全体の把握が可能となるデータを取得できる予定である。このデータを取得することによって氷河上に露出する鉱物量が把握できるようになる。また2023年度は鉱物、有機物の吸収係数を測定できるようになった。これにより、3大光吸収性不純物それぞれについて、アルベドを低下させる効果を量的に議論することが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は最終年度である。観測は3年目となり、アルベドと不純物の関係についてのデータをさらに取得し、それぞれの年の特徴と気象条件について明らかにすることが第一の目的である。 またこれまでの観測では、ブラックカーボンについては、取得したサンプル数が少なく、オーダーしか明らかになっていなかったが、アルベドとの関係についてブラックカーボンの量的な効果を明らかにするために、スペクトルアルベド測定の際はブラックカーボン用のサンプルを取得する計画でいる。これにより、課題タイトルの「三大光吸収性不純物」の3つ、鉱物、有機物、黒色炭素がそろい、アルベド低下に、どの不純物が量的に効いているのかを量的に明らかにすることができる。 さらには取得した不純物量の吸収係数等を用い、氷面におけるアルベドモデルを作成し、観測したスペクトルアルベド、各不純物の含有状態について解析する予定である。
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