Project/Area Number |
20H00287
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 25:Social systems engineering, safety engineering, disaster prevention engineering, and related fields
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
三宅 淳巳 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (60174140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊里 友一朗 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (90794016)
塩田 謙人 福岡大学, 工学部, 助教 (30827837)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥44,720,000 (Direct Cost: ¥34,400,000、Indirect Cost: ¥10,320,000)
Fiscal Year 2023: ¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
Fiscal Year 2022: ¥14,040,000 (Direct Cost: ¥10,800,000、Indirect Cost: ¥3,240,000)
Fiscal Year 2021: ¥14,040,000 (Direct Cost: ¥10,800,000、Indirect Cost: ¥3,240,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,710,000 (Direct Cost: ¥6,700,000、Indirect Cost: ¥2,010,000)
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Keywords | 高速反応学理 / エネルギー物質 / 着火燃焼機構 / 爆発 / 発火 / 爆轟 / 詳細反応モデリング |
Outline of Research at the Start |
本研究は,申請者らのグループが実施してきた凝縮相エネルギー物質の爆発燃焼現象に関する研究を深化・推進し,純理論的に高速反応現象を再現し得る詳細反応モデリング技術の構築により高速反応の学理を構築し,世界初となるイオン液体系エネルギー物質の創製に挑戦する。ここでは,量子化学計算による熱力学データの高精度推算に基づき,着火・燃焼を可能とする最適分子設計と組成探索を試み,実験的に検証する。一方,外部エネルギーの入射による反応の生起から分解,着火,燃焼に至るプロセスを詳細反応解析により再現し,燃焼の発生から影響予測に至る体系的な高速反応学理の構築と学理に基づく高度着火燃焼制御技術への展開を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,申請者らのグループが実施してきた凝縮相エネルギー物質の爆発燃焼現象に関する研究を深化・推進し,実験による測定値を用いることなく純理論的に高速反応現象を再現し得る詳細反応モデリング技術の構築により高速反応の学理を構築し,世界初となるイオン液体系エネルギー物質(EILs)の創製に挑戦するものである。 示差走査熱量測定によりアンモニウムジニトラミド(ADN)/ヒドロキシエチルヒドラジニウム硝酸塩(HEHN)系の液体保持温度(ガラス転移温度)が約-70 ℃であることがわかった。これはこれまで知られていたADN系EILsの融点・ガラス転移温度と比較して極めて低い温度であり,極低温の宇宙環境での利用を想定したときに優れた特性である。分解熱特性については,ADN/HEHNは既存のEILsと比較して顕著な熱安定性の低下は見られず,分解発熱量も高いことから極めて高い燃焼性能が期待できた。電圧印加による着火についても,既存のEILsよりも短い着火遅れ時間で着火に至ることがわかり,より低い投入エネルギーと短い応答性で着火可能であることが示された。電圧印加時のADN/HEHN 系EILsの着火挙動を詳細計測するために火炎温度,電流電圧に高速度撮影を同期させる実験計測系を構築した。特に,極細熱電対と温度補償の組み合わせによる高精度火炎温度測定を達成し,当該測定系を用いて水分量,雰囲気圧力等の各種環境条件がEILsの着火挙動に与える影響を評価した。また,最適な電極材の提案に向け,白金,ステンレス鋼,ニッケル合金を電極材として用いた検討を行い,着火時間,電流挙動,消費電力への影響を把握した。最後に3Dプリンターを用いて試作した宇宙機用スラスター燃焼器内でのEILsの燃焼実験も行い,電圧印加によりEIL推進剤を着火・燃焼させ,実際に推力が得られることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はコロナウィルス蔓延とその対応による影響で実験的検討に遅れが生じていたが,今2022年度はその遅れを取り戻し,全体として順調に推移したものと評価している。2021年度に理論的に有望であることが予測されたEIL組成であるADN/HEHNに関して,実験的に物性評価を行い,これまでのEILを超える革新的エネルギー物質となり得るポテンシャルを確認することができた。高度着火燃焼制御技術開発に関しても,電圧印加方式を中心に雰囲気圧力,組成中の水分量,電極材が及ぼす着火性への影響検討を行い,難着火性であったEILを速やかに着火に導くことができた。3Dプリンターを使ったEILsを使用した宇宙機用スラスターの燃焼器試作にも着手することができた。以上の成果より,前年度の遅れを挽回し,研究は順調に推移したものと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2023年度は,着火システムの最適化を行い,高速反応学理への一般化を検討する。3Dプリンターを使用し宇宙機用スラスター燃焼器の各種条件を変更した試作器を作成し,ADN/HEHN系EILsの着火と推力獲得に最適化した燃焼器設計パラメータについて検討する。これに加えて,ADN/HEHN系EILsの粘度,燃焼物性および凝縮相反応機構に関する検討も継続する。具体的には微量差圧式粘度計を用いたADN/HEHN系の粘度特性の取得およびストランド燃焼試験器を用いたADN/HEHN系EILの燃焼速度の算出,特にその圧力依存性を評価する。これらは推進剤タンクからのEILsの送液系の設計および異常燃焼によってスラスターを破壊しないように燃焼室圧力を設定するうえで重要な基礎物性である。これに加えて,電解中のEIL中の化学組成分析や電極表面観察を実施し,EILの電解反応機構を実験的に検討し,これまでのシミュレーション結果と比較する。これら検討で得られた知見は燃焼器設計へと適宜フィードバックさせることによって,革新的なEILを用いたスラスターシステム構築を達成する。
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