Project/Area Number |
20H00333
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 28:Nano/micro science and related fields
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桑原 裕司 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (00283721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 卓磨 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (10876965)
大須賀 秀次 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (50304184)
森川 良忠 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (80358184)
齋藤 彰 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (90294024)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥44,720,000 (Direct Cost: ¥34,400,000、Indirect Cost: ¥10,320,000)
Fiscal Year 2023: ¥9,620,000 (Direct Cost: ¥7,400,000、Indirect Cost: ¥2,220,000)
Fiscal Year 2022: ¥9,620,000 (Direct Cost: ¥7,400,000、Indirect Cost: ¥2,220,000)
Fiscal Year 2021: ¥10,010,000 (Direct Cost: ¥7,700,000、Indirect Cost: ¥2,310,000)
Fiscal Year 2020: ¥15,470,000 (Direct Cost: ¥11,900,000、Indirect Cost: ¥3,570,000)
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Keywords | キラル認識 / 走査トンネル顕微鏡 / 探針増強ラマン分光 / ヘリセン誘導体 / 探針増強ラマン散乱分光 |
Outline of Research at the Start |
キラル認識のメカニズムを、その分子配向・電子状態、および光学非対称性の単一分子レベル解析を通して考察・解明する。キラル分子として、安定性、構造の単純性に優れたヘリセン誘導体を研究対象とし、各種ヘリセン誘導体の合成およびキラル分離、固体表面上での低次元自己組織化構造の制御を行ったのち、STM/STS、申請者らが開発したOA-TERSを中心としたナノスケール複合分析システムを用いて、局所的な分子配列・配向と、ラマン振動状態解析・光学活性計測とを連動して、実空間、分子スケールでの電子状態・光学特性・振動特性を総合的に評価し、詳細な理論解析を遂行して、螺旋キラル分子のキラル認識メカニズムを科学する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、キラル認識のメカニズムを、その分子配向・電子状態、および光学非対称性の単一分子レベル解析を通して考察・解明することを目指す。キラル分子として、安定性、構造の単純性に優れたヘリセン誘導体を研究対象とし、各種ヘリセン誘導体の合成およびキラル分離、固体表面上での低次元自己組織化構造の制御を行ったのち、OA-TERSを中心としたナノスケール複合分析システムを用いて、局所的な分子配列・配向と、ラマン振動状態解析・光学活性計測とを連動して、実空間、分子スケールでの電子状態・光学特性・振動特性を総合的に評価するものである。 本年度は、特に、ヘリセン誘導体の一つであるヘリセンジフェニル分子について、特に円偏光入射によるラマン光学活性(OA-TERS)に関する詳細な実験を開始した。まず、円偏光を制御するための1/4波長板を回転しながら、ラマン散乱強度をモニターした。本実験でわかることは、探針直下におけるプラズモンの偏光状態と、入射円偏光と相関についてであり、探針先端の形状による、プラズモン変更具合と、それに伴うラマン光学活性の影響に関する知見が得られる。一連の実験において、探針先端の非対称性がOA-TERSに大きな摂動を与えることがわかってきた。本件については、理論計算からのアプローチも開始しており、今後、OA-TERSの定量的解析につながるものである。一方、エナンチオ分離したP体、M体のみの規則構造もSTMにより観測し、キラル認識について、新たな知見が得られ、昨年までに提案したキラル認識モデルを一部修正した。 DFT計算、MD計算を引き続きおこない、[7]ヘテロヘリセン、[5]ヘテロヘリセンの周期構造内での分子配向を特定した。一部理論計算と実験結果が異なる結果を得ているが、今後、計算を高度化・大規模化することで、両者の一致が見られるであろうと期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、光学システムの整備(グレーティングの新調、円偏光導入光学系の更新)などの処置により、精度・再現性のよいラマン計測系が再整備され、STM-TERS測定およびその光学分割が可能となった。研究成果公表については、吸着基板に依存したヘリセン分子の発光特性を分子スケールで解析した論文(Y. Kuwahara, et al., International journal of molecular science, IF6.2)を論文として発表するなど、着々と成果発表を行っている。また、国際会議で招待講演(Hattori et.al.,"Chiral recognition of thiaheterohelicene molecules studied by STM and TERS", International Conference of Computational Methods in Sciences and Engineering 2022(ICCMSE2022), on-line)他、国内会議での講演4件を行い、研究成果の積極的な発信も行った。また、DFT、MDシミュレーションも順調に進んでおり、論文投稿も準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、国際共同研究に関する予算(国際共同研究強化(B))も採択され、現在、主な海外共同研究先であるポーランド・ウジ大学との、より綿密な共同研究が可能となったため、最終年度である来年度の研究成果発信が強く期待される。特に分担者の服部は、ウジ大学側の卓越した計測・装置群を現地において積極的に利用することにより、キラル認識における分子構造、電子状態および振動解析について、飛躍的な進展が期待される。また、引き続き、成果発表にも力を入れるとともに、感染症拡大が収まりつつあるため、研究代表者は、国際会議での招待講演等を積極的に引き受けるなど本研究成果の情報発信に努める。一方、理論計算においては、本年度大きな進展があり、その成果のまとめおよび学術論文の作成など、本研究課題のオリジナリティを発信できる準備が整った。
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