Project/Area Number |
20H00401
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 36:Inorganic materials chemistry, energy-related chemistry, and related fields
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka Prefecture University (2020-2021) |
Principal Investigator |
高橋 雅英 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (20288559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 一正 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (20805618)
岡田 健司 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (30750301)
深津 亜里紗 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 助教 (90906950)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥45,630,000 (Direct Cost: ¥35,100,000、Indirect Cost: ¥10,530,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
Fiscal Year 2022: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
Fiscal Year 2020: ¥18,980,000 (Direct Cost: ¥14,600,000、Indirect Cost: ¥4,380,000)
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Keywords | 金属有機構造体 / ナノ多孔性 / エピタキシャル / 分子エレクトロニクス / 光機能性 / 配向薄膜 / 電気伝導 / 熱伝導 / フィルター / 応答性材料 |
Outline of Research at the Start |
エピタキシャル成長手法を基盤技術とし、高機能MOFを対象として、(I) 機能性MOFによるエピタキシャル薄膜の基礎科学の確立、(II) エピタキシャル成長による新規機能性MOFの開拓、(III) 機能性MOF配向膜における電子移動、光励起エネルギー移動の方位と頻度の最適化の3つを達成することで、ユニークかつ高い機能性を持つ高機能電子・光機能性MOF配向薄膜を実現する。本研究の基盤となる表面科学、錯体化学、溶液合成化学の知見を融合することで配向性MOF薄膜の基礎学理を構築するとともにユニークな応用を開拓する。
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Outline of Annual Research Achievements |
異なる骨格構造を有する金属有機構造体に関して、エピタキシャル成長による配向薄膜や独立膜の作製手法を確立した。金属水酸化物を基板として用いたヘテロエピタキシャルアプローチの汎用性と有用性を示すことができた。特に多様な金属水酸化物からの配向成長手法を確立し、手法の汎用性を実証している。大面積で配向した多結晶体として、結晶構造に依存した異方的な物性をマクロな薄膜や独立膜として測定可能となった。このような試料を用いて以下の結果を得た。 (1)基板を用いた二次元超セラミックスに関しては、水酸化物結晶基板上で金属有機構造体(MOF)をエピタキシャル成長することで配向MOF薄膜を得た。γ-AlO(OH)を基板として用いることで、世界に先駆けてAl系MOF配向膜(MIL-53(Al))を得た。γ-AlO(OH)のAl-OH-Al結合の配列がカルボン酸の配向方向を規定することを初めて見出した。MIL-53(Al)は微量のガスを吸着することで構造転移を伴うことを利用して、異なるガス気流中での応答性アクチュエータを作成した。配向MOF薄膜を用いることで、異方的な構造変化を実現し、対掌的な構造変化を示すキラルアクチュエータを実現し、微量VOC検出センサーやマイクロロボティックスへの利用が期待される。 (2)MOFの成長制御のためにモジュレータ分子を用いることで、多彩な形態を有するMOFナノ構造体を得ることが出来た。特にCu2L2DABCO(L:カルボン酸系配位子)系MOFにおいて、繊維状の金属水酸化物を出発原料とし、モジュレータ分子として酢酸を用いることで、繊維状のMOFを得ることが出来た。この繊維状MOFを用いて不織布フィルターを作製し、水浄化フィルターを実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
異なる骨格構造を有する金属有機構造体に関して、エピタキシャル成長による配向薄膜や独立膜の作製手法を確立した。金属水酸化物を基板として用いたヘテロエピタキシャルアプローチの汎用性と有用性を示すことができた。このために、大面積で配向した多結晶体として、結晶構造に依存した異方的な物性をマクロな薄膜や独立膜として測定可能となった。配向金属有機構造体の基礎科学を確立する上で重要な進展があった。このような配向プロセスによって、昨年度は電気特性や熱特性の異方性を実験的に実証できた。今年度においては、成果を環境浄化フィルターや応答性材料へと展開し、エピタキシャル界面を有するMOF系材料の可能性を拡張できている。また、昨年度課題となっていた光学品質の薄膜についてもめどが立ちつつある。このような観点から、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は最終年度となるため、これまでの成果のとりまとめにより、配向MOF薄膜の多様な機能性についてより高度に発信していく。 令和4年度の成果をもとに、高度に配向したMOF多結晶薄膜を用いたソフタアクチュエータへの展開を新たに図る。結晶レベルでの外場応答性(光、熱、溶媒等)を配向膜を用いてマクロスケールで取り出すことで、複雑な変形にも応用可能なアクチュエータを実現する。異方性変形をすでに実現しており、より複雑なプログラマブルな変形挙動へと展開したい。それらの応答性を利用した実用材料への展開も試みる。具体的には、マイクロロボットや薬剤運搬システム、微量のVOC検出計などへの展開を計画している。 本研究では、提案者独自のエピタキシャル成長法を用いることで、原子レベルでの変異をマクロな変形へスケールアップする。その際に、配向膜の利点を活かすことで、結晶方位に依存したマクロ変形が実現できる。令和5年度の研究項目としては、以下を計画している。 (1)応答性としては、溶媒応答性が基本となるが、実用性の高い遠隔操作の可能性を追求する。リンカーとして光応答性を示すアゾ色素などの誘導体を用いたい。テーラーメードの配位子を用いた配向MOF多結晶膜を用いた自由度の高い変形挙動を示す応答性MOF薄膜の実現によるソフトアクチュエータを開拓する。 (2)配向MOF薄膜に期待される未開拓の分野として、異方性熱挙動を引き続き開拓していく。 (3)ピタキシャル無機結晶膜で広く行われているストレスエンジニアリングによる機能開拓・制御へと発展させる。基板となる金属水酸化物とMOFの格子不整合を利用することで膜界面における巨大なストレスによるトポロジー制御を実現し、機能発現へとつなげる。
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