Project/Area Number |
20H00435
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Medium-sized Section 40:Forestry and forest products science, applied aquatic science, and related fields
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大手 信人 京都大学, 情報学研究科, 教授 (10233199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 正也 福島大学, 食農学類, 准教授 (00792392)
深町 加津枝 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (20353831)
村上 正志 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (50312400)
石井 伸昌 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 福島再生支援研究部, 上席研究員 (50392212)
二瓶 直登 福島大学, 食農学類, 准教授 (50504065)
小林 奈通子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60708345)
小田 智基 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70724855)
和田 敏裕 福島大学, 環境放射能研究所, 准教授 (90505562)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥37,050,000 (Direct Cost: ¥28,500,000、Indirect Cost: ¥8,550,000)
Fiscal Year 2023: ¥8,580,000 (Direct Cost: ¥6,600,000、Indirect Cost: ¥1,980,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2021: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
Fiscal Year 2020: ¥11,700,000 (Direct Cost: ¥9,000,000、Indirect Cost: ¥2,700,000)
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Keywords | 森林生態系 / 放射性セシウム / 里地への移行 / 生物間の移行 / 住民の認識 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、原発事故による放射性物質の汚染を受けた福島県内2地域において、森林から生活圏に移動・沈着する放射性物質を把握し、その影響を多面的に評価するため、以下の3つの項目の研究を実施する。1)森林から生活圏に移行する放射性物質の実態を定量的に把握する。2)住民の放射性物質の移行源としての森林についての認識とその変化を明らかにする。ここでは、住民の認識の中で森林の生態系サービスが事故によってどう変化してきたかを調査する。3)1)での実態と2)での住民の認識とを比較考察し、里地における生活と生業の持続性に必要な森林からの放射性物質移行に関する、住民の自律的な情報の取得・理解の枠組みを提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2021年度、以下の研究項目を実施した。研究項目1[森林から生活圏に移行する放射性物質の経路と再沈着の実態把握](タスクA)2020年度、定点観測点として設定した、上小国川集水域(以下、小国地区)と高瀬川集水域(以下、高瀬地区)において、連続水位・濁度観測を実施し、自動採水器によって、水位上昇時の河川水サンプリングを継続した。数回の高水イベントにおける土砂流出と放射性セシウムの流出についてのデータと試料が採取された。加えて、放射性セシウム含有微粒子(CsMP)の観測が実施され、森林域から河川への流出特性についての情報が初めて得られた。 (タスクB)これらに加えて、双葉郡浪江町・請戸川、同大熊町・熊川を調査対象河川とし、環境試料、生物試料の採取調査を実施した。この試料採取調査では、上記4河川において、上流森林域、中流里地域、下流里地域の3地点で試料採取を行った。水域(河川・貯水池)では、一次生産物、消費者、捕食者、陸域では(河岸・農地):土壌と、植物、食植者、落葉、腐食食者、捕食者などの試料を、機能群ごとにバイオマスが推定できる方法で採取した。採取した生物試料のソーティング、分析の前処理等を実施し、放射性Csの濃度の測定を実施した。この結果、陸域の昆虫等の捕食者であるジョロウグモの放射性セシウムの濃度分布が明らかになった。 研究項目2[住民の放射性物質の移行源としての森林についての認識に関する調査】について、住民の、森林の状況、存在意義や価値についての認識と、それに基づく生活上、生業上なされる判断の仕方などを明らかにするためにアンケート調査やインタビューを伊達郡川俣町の住民を対象に実施した。これによって、住民の森林での活動がこの10年間で減少していること、これの主な原因が放射能レベルへの警戒感であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究項目1のタスクAでは、河川の連続観測点として、地域の放射能レベルを考慮し、大熊町・熊川の代わりに、浪江町・高瀬川を選定して観測は継続され、加えて、生物群集の食物網構造を介した放射性物質の移動・拡散を把握するための試料採取のキャンペーンも実施できた。これら河川ごと観測と試料採取・調査の実施は計画通りで、現在、試料の整理と分析が進められ、分析結果が出てきている。例えば河川周辺で飛翔性の昆虫に対して捕食者となるジョロウグモの放射性セシウム濃度の空間的分布が明らかになり、河川から陸域への移行の経路が示されつつある。加えて、放射性セシウム含有微粒子(CsMP)の調査地上流部森林における土壌中の分布や、河川への流出特性が明らかになりつつあり、この知見は計画を上回る成果といえる。 研究項目2[住民の放射性物質の移行源としての森林についての認識に関する調査]に関し、タスクCとして、被災地住民について、事故以前、事故から現在まで、将来(例えば今後50年)の時点での森林の利用状況などについての認識、生活・生業における利用方法などについて調査するアンケートを作成し、伊達郡川俣町の住民に対して実施することができ、当初計画のレベルまでタスクを実施することができた。データは解析中であるが、いくつかの重要な知見が得られてきている。
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Strategy for Future Research Activity |
定点観測点を設定した、2河川(伊達市小国・上小国川、双葉郡浪江町・高瀬川)については、水位・濁度の連続観測と、高水時の河川水サンプリングを継続する。この2河川と、浪江町・請戸川、大熊町・熊川においては、生物群集と環境試料(水・土壌)のサンプリング・キャンペーンを次年度以降も年1,2回の頻度で実施する。これらの観測は2023年度までは継続する予定で、網羅的なデータベースの確立と公表を目指す。 研究項目2については、2021年度に実施できた中通りの伊達郡川俣町に関するアンケート調査データの解析を進め、さらに実施市町村を拡大する予定である。候補地としてはいわき市などが挙げられる。また、福島県外の市民に対してのアンケートについてはWebサーベイの手法を用いて実施することを考える。
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