Project/Area Number |
20H01210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
遠山 公一 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (90227562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡部 葉子 慶應義塾大学, アート・センター(三田), 教授 (00439225)
金井 直 信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (10456494)
望月 典子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (40449020)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥15,210,000 (Direct Cost: ¥11,700,000、Indirect Cost: ¥3,510,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2020: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
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Keywords | 彫刻 / 色彩 / 古典主義 / モノクローム / ポリクロミー / モノクロミー / ポリクローム / 多彩色 / パラゴーネ / 表面 / 彫刻概念 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、西洋彫刻における色彩の歴史的意義の変遷を検討する。現代においても一般的な彫刻概念を形づくるのは、古典主義時代に成立したブロンズや大理石におけるモノクロミーであると考えられる。しかしながら、古代から現代までの「彫刻」の歴史、および理論史を紐解くならば、彫刻のモノクローム性は限られた条件の中で成立したに過ぎないことが明らかになるはずである。各時代における彫刻理論史・再現性・模倣理論・素材の象徴性・パラゴーネ(比較論)・古代彫刻の再評価史・テクノロジー発展による新たな素材の開発・彫刻をめぐる展示目的(戸外・屋内)および機能などを勘案して、彫刻観の変遷を検証する研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
当研究は、三次元の造形である「彫刻」を論じることを大きな目標として掲げている。そのとき、この量塊(マス)の芸術であるとされてきた彫刻を、むしろ表面の処理(彩色)から検討を試みる。伝統的な彫刻観に従うならば、彫刻の本質は表面ではなく、内実に在り、中が詰まっているとし、中からあふれ出てくるような充実・充満が重要な価値観だとされてきた。しかし、実際の彫刻制作を鑑みるならば、ブロンズ彫刻やテラコッタは、中が中空であり、木彫もまた割れないように裏面をえぐり、大理石もまた重量を軽減するために内部を穿つことは慣例であろう。その意味で、内部の充実とはイリュージョンにすぎず、その時むしろ内部の充実に彫刻の本質をおいて、その表面を軽視したのは、絵画との分離・自律を諮るためではなかったのかという疑問を生むこととなる。 「古典主義グループ」は、近世の彫刻のモノクローム性成立の契機と推移及び実態を問う。一方「古典主義以前」は、以上の彫刻観成立以前の豊かな彩色彫刻の歴史と特に素材別の考察を通して素材と色彩の関係を精査する。他方、「古典主義以後」には、19世紀の宗教像、抽象彫刻と新たな彫刻素材(鉄など)、および現代のポリクローム彫刻などの考察を通して、もっぱら「彫刻」の再定義を求められることになる。 以上の研究の内容・目的を、研究代表・研究分担者・研究協力者それぞれが、理論研究、作品研究、素材の研究を通して遂行する。2021年度も、新型コロナ感染症蔓延によって外国出張を行うことができなかったため、専ら機材の購入と文献の入手・読解を行い、理論研究に多くを割くことになった。内実としては、先行研究の読解により、研究現状の把握に努め、その報告を2022年3月5日の研究発表会(慶應義塾ミュージアム・コモンズKeMco 9階、カンファレンス・ルームから対面及びオンライン会議のハイブリッド形式)において行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度も、前年度から猛威をふるっていたコロナウィルス感染症の蔓延により、外国との往来が制限された。そのことが当研究にとって打撃であったことは否めない。とはいえ、海外出張費を書物や機材の購入にあて、理論研究を中心に行い、研究の進捗を見ることができた。 具体的には、2022年3月5日に参加する全ての研究者が研究発表会に出席し、対面およびオンラインのハイブリッド形式により研究発表を行うことができた。すなわち研究代表者(遠山)による「デラ・ロッビアとギベルティ『コンメンターリ』」により、ギベルティの著作『コンメンターリ』の第三書の部分和訳を初めて行った。研究分担者望月典子「17世紀フランスにおける彫刻と色彩」、研究協力者・小泉篤士「古代大理石彫刻における白の意味」、研究協力者・藤崎悠子「ピエモンテ州とロンバルディア州の『キリスト哀悼』木彫作例」、研究協力者・新倉慎右「パラゴーネの文脈における色彩と彫刻の位置付け」、研究協力者・請田義人「多彩色をめぐる19世紀後半の美術史上の言説とその意味」が行われ、研究進捗状況が概ね堅調であることを確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
3年間の研究期間のうち、1-2年目にできなかった海外調査研究が今年こそは実現できるようにと願っている。実際、研究代表者は、別の研究課題のためにイタリアに渡航し、2022年度はイタリアに留まって研究を行うことを基本としたい。そのために、今年度の研究計画を一年延期とする手続を行った。したがって、科研の研究課題を再開するのは2023年4月となる。 2020年度の研究状況での反省すべき点として、コロナ下において、1年を通じて研究者同士が実際に会う機会がなく、研究発表会の席上でも、十分なディスカッションの時間をもつことができなかったことが挙げられた。そして、現状を改善するためには、より緊密な連携を取るべく、複数回の研究会やグループ・リーダーのより強力なリーダーシップが求められるとしていた。コロナ禍が続いた2021年度についても、ほとんど同じ状況の中で、同じ懸念や問題点が指摘でき、かつ残念なことに改善されたとは言い難い。その意味で、文献調査に重きを置かざるを得ない研究の進捗は個人に任され、研究チーム全体として十分に機能することが叶わなかった。 奇しくも2022年度は一年の延期をお認め頂くことになっており、最終年度となる2023年度に向けて準備を行うことが可能なので、本務校の研究年(サバティカル)をとりイタリアに滞在する研究代表が研究体制のてこ入れと、海外在住者(藤崎悠子)や招聘予定者らとの再連携を行う。すなわちペルージア大学のジャンカルロ・ジェンティリーニ教授を招聘し、また新たにフィレンツェ、ドイツ研の所長アレッサンドロ・ノーヴァ教授に協力を求め、研究再開の2023年4月上旬に来日講演をお願いする。後者の招聘は、美術史学会との共催となる予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(28 results)