Project/Area Number |
20H01249
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
菅谷 憲興 立教大学, 文学部, 教授 (50318680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
数森 寛子 愛知県立芸術大学, 美術学部, 准教授 (10588239)
真野 倫平 南山大学, 外国語学部, 教授 (30257232)
片岡 大右 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 講師(非常勤) (30600225)
海老根 龍介 白百合女子大学, 文学部, 教授 (40439500)
山崎 敦 中京大学, 教養教育研究院, 教授 (70510791)
中島 太郎 中京大学, 国際学部, 准教授 (70802867)
辻川 慶子 白百合女子大学, 文学部, 教授 (80538348)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥15,340,000 (Direct Cost: ¥11,800,000、Indirect Cost: ¥3,540,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,590,000 (Direct Cost: ¥4,300,000、Indirect Cost: ¥1,290,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | ロマン主義 / フランス文学 / 政治 / 美学 / 歴史 / 比較文学 / 宗教史 / 旅行記 / 哲学 / 科学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、フランス革命後の十九世紀前半のフランス社会を席巻した文芸思潮ロマン主義に着目し、文学が政治、宗教、歴史、科学などの言説と渾然一体となっていた時代の文学の有様を探る。さらにそれが、世紀後半の先鋭的な文学において、他の知の領域とのつながりを切り捨てつつ、「純粋芸術」として特化していくプロセスを分析する。ロマン主義とそれに続くポストロマン主義の複雑な関係を再考することにより、従来の十九世紀フランス文学研究においては軽視されてきたロマン主義の復権を試みると同時に、文学と広義の政治との関係に歴史的観点から取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
三年目も、これまで同様に研究代表者・分担者が各々担当する領域についての知識を深め、それを研究会その他の場で披露し、さらに様々な媒体を通じて成果として発表することに努めた。計4回研究会を開催したが、毎回新しいテーマを取り上げ、研究課題をさらに発展させることができた。そのうち3回は外部の研究者を招聘し、それぞれ政治と文学の関係(第1回はリベラリズムについて、第2回はプルードンの社会思想について)、スタンダールのロマン主義論の射程について論じてもらった。詳細は以下の通りである。 1.8月5日(金)14:00~17:00 発表者:平澤暢之(ギュスターヴ・エッフェル大学)「十九世紀文学とリベラリズム――フローベールを例に」/2.9月3日(土)14:00~17:00 発表者:金山準(北海道大学)「『プルードン 反「絶対」の探求』(岩波書店)について」/3.9/17(土)14:00~17:00 発表者:杉本圭子(明治学院大学)「スタンダールとロマン主義」/4.12月26日(月) 14:00~17:00 発表者:片岡大右「加藤周一とロマン主義」 また本科研費を用いて、十八世紀の特異な作家レチフ・ド・ラ・ブルトンヌの専門家であるフランソワーズ・ル・ボルニュ氏を招聘し、2月18日(土)に白百合女子大学で公開講演会を開催した。テーマは「レチフ・ド・ラ・ブルトンヌとロマン主義作家」についてであり、ジョルジュ・サンド、デュマ、ネルヴァルといった十九世紀前半の作家たちの美学がいかに前時代の文学の影響を受けているかを浮き彫りにした素晴らしい講演であった。対面・オンライン併用のハイブリッド方式で行ったが、当日はあわせて70名近くの参加者があり、質疑応答も活発に行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
定期的に研究会を開催し、ロマン主義とポストロマン主義の関係について活発な議論をかわすことができた。三年目は、特にロマン主義時代の政治と文学の関係について注目し、同時代のリベラリズムの潮流や、それに対立する社会主義の問題をテーマとして取り上げた。さらに比較文学的な視点から、フランス・ロマン主義成立期においてシェイクスピアの果たした役割や、日本のフランス文学受容史のなかでロマン主義の占める位置などを検討することができたのもきわめて有意義であった。前年度の繰越分を使った国際シンポジウムを2023年3月に催したこともあり、研究会自体は計4回の開催にとどまったが、論文、学会発表、図書などの業績の数も十分であり、充実した研究成果を得ることができたといえる。 2022年度はまた、2月にフランス人研究者を一名招聘し、ロマン主義の時代におけるレチフ・ド・ラ・ブルトンヌの受容をめぐる公開講演会を行った。当日はロマン主義文学に造詣の深い慶應義塾大学の小倉孝誠氏をコメンテーターに、さらにレチフの専門家である神戸大学の石田雄樹氏を通訳に迎え、会場からも多数の質問が出て、このテーマについての関心の深さがうかがわれた。実際、十八世紀文学とロマン主義の関係というのはいまだ未開拓の分野であり、今後も本科研の枠内で意識的に取り上げていきたいと考えている。 最後に、十二月に菅谷と山崎の二名が本科研費を使用して、パリで行われた「フローベールとイメージ」をめぐる国際シンポジウムに参加した。シンポジウムの成果はフランスのHermann社から2023年度末に出版予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度も研究会を開催し、お互いの研究成果を発表して議論することが、メインの活動となる。従来通り、本科研のメンバーのみならず、定期的に外部の研究者を発表者もしくはコメンテーターとして招聘していくつもりである。特に四年目は、啓蒙思想の時代である十八世紀の文学・哲学と十九世紀前半のロマン主義の関係をテーマとして新たに取り上げる予定である。本研究はこれまで、おもにロマン主義と十九世紀中葉以降のポストロマン主義の関係について検討してきたが、それ以前にロマン主義自体がいかなる意味において前時代との「断絶」もしくは「継承」だったのかを考察することが目的となる。このテーマについては、すでに2022年度に十八世紀の小説と十九世紀のロマン主義を美学的観点から比較する趣旨の公開講演会を開催したが、本年度は思想・哲学の方面からもこの問題に本格的にアプローチしたい。 学術的な催しに関しては、2021年度・2022年度と海外の研究者を招聘して、国際シンポジウムもしくは公開講演会を行ったが、2023年度はむしろ国内の研究者を招いたシンポジウムを開催する方向で検討している。現在のところ、後期ロマン派における政治と美学、および啓蒙の世紀から十九世紀にかけての百科全書的知の系譜といったテーマを考えている。いずれにせよ、4年間の共同研究の最終年度ということもあり、これまでの研究成果を総括する場にしたい。 最後に研究成果の発信については、2023年3月に開催した国際シンポジウム「ロマン主義と第二帝政期の文学」の成果を、フランスの学術雑誌の特集号として発表する予定であり、できるだけ早期の出版を目指したい。また、これまでの研究会の成果をまとめて、日本語の論集として出版することも考えている。それ以外にも、本共同研究で培った知見を、各人が所属する大学の紀要その他に発表し、積極的に研究成果を発信していきたい。
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