Project/Area Number |
20H01388
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04010:Geography-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤岡 悠一郎 九州大学, 比較社会文化研究院, 准教授 (10756159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 千尋 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (00609662)
手代木 功基 金沢大学, 学校教育系, 准教授 (10635080)
濱 侃 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 助教 (10851579)
八塚 春名 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (40596441)
福永 将大 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (50847093)
飯田 義彦 筑波大学, 芸術系, 准教授 (90774802)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2020: ¥6,240,000 (Direct Cost: ¥4,800,000、Indirect Cost: ¥1,440,000)
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Keywords | 採集林 / 人為植生 / 生業 / 植物利用 / 島嶼 |
Outline of Research at the Start |
生物多様性ホットスポットの一角を成す日本列島において,かつて生態系に組み込まれていた生業・生活様式が過疎・高齢化などに伴って大きく変容する中で,これからの人為生態系の活用策や生物多様性保全策を検討していく必要がある。多様な人為生態系が存在する日本において,これまで体系的に整理されなかった“採集林”という概念を構築し,それを日本植生誌の中に位置づけ,生物多様性上の意義や文化的な意味を整理することが,一つの鍵となる。本研究は,島嶼部を含む日本列島における人為生態系を採集林という観点から整理し,異分野の協働による現地調査およびドローン空撮などの新技術から,採集林の分布様式と成立メカニズムを解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2021年度、本研究では新型コロナ感染症拡大状況を確認しつつ、集中調査地を主要な対象地として採集林や採集活動に関するデータ取得を実施した。 集中調査地の一つとして、ブナ帯に位置する近畿地方を設定し、奈良県下北山村付近に成立しているトチノキ林を対象とした現地調査を実施した。この地域のトチノキ林は、トチノキの巨木が密に生育する特徴的な林分であり、現地の人々がトチノミを採集した採集林である。このトチノキ林において、トチノキが密生する場所を対象にコドラートおよびベルトトランセクトを設置し、毎木調査を実施した。その結果、トチノキ個体群の植生構造に関するデータを取得した。また、現地の住民に採集活動に関するインタビュー調査を実施し、本地域のトチノキ巨木林の成立要因などに関する情報を得た。 さらに、中国地方の山間部に位置する恐羅漢山周辺でトチノキ林に関する現地調査を実施した。本地域においてもトチノキ採集を実施する文化が根付いており、同地域にトチノキが密に生育するトチノキ林が形成されているという情報を得たため、集中的な調査を実施した。山中に複数のコドラートを設置して毎木調査を実施するとともに、ドローンを用いて空中写真を撮影した。 3月には、琉球諸島の慶良間諸島の一角に位置する座間味島において、ヤマモモ林とヤマモモの採集活動に関する集中調査を実施した。同地域では、ヤマモモを昔から食用に採集する文化があり、その採集林が現地の高月山山頂付近に成立しているという情報を入手した。その実態を把握するため、現地調査を実施した。同地域においてコドラートを設定し、毎木調査を実施した。また、現地の住民に対するインタビュー調査を実施した。 また、本研究の分担者と集中調査の機会などを利用して意見交換を進め、研究の進捗状況を共有した。そして、最終的な成果公表に向けた議論を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症拡大の影響で、現地調査が予定していたよりも制限を受けたが、集中調査地における共同調査を複数回実施することができた。また、共同調査により、自然環境に関する情報と社会環境に関する情報の両方を入手することができ、当初計画していた学際的なアプローチもおおむね達成できていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き集中調査地を中心に採集林や採集活動に関するデータ入手を進める予定である。特に、琉球列島や日本海側の島嶼部における調査を進め、本州や九州の採集林との比較を試みる。また、これまでにデータを取得している地域においても継続的な調査を実施し、最終的に論文として成果が公表できるよう、必要な情報を収集する。 また、採集林の事例を引き続き広く収集し、その定義や射程などを多角的に検討していきたい。これまでにも研究会などで分担者など領域内部の意見交換は実施してきたが、本概念を関連する研究分野の研究者に紹介し、意見交換を進めていく。 さらに、異分野の研究結果を相互参照し、採集林に関する総合的な知見を得られるように、研究会や成果発信の方法を模索する予定である。一つの案として、地理学分野で広く読まれている雑誌などに特集企画を組み、それに向けて研究者間の議論を進める。また、分野間を横断する学際研究の成果を発表することを試みる。
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