臓器移植法制・法政策の包括的再検証―改正法施行10年目の現況を踏まえた提言
Project/Area Number |
20H01430
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05050:Criminal law-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
城下 裕二 北海道大学, 法学研究科, 教授 (90226332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 輝之 成城大学, 法学部, 教授 (00182634)
湯沢 賢治 独立行政法人国立病院機構水戸医療センター(臨床研究部), なし, 部長 (10240160)
柑本 美和 東海大学, 法学部, 教授 (30365689)
西村 勝治 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60218188)
佐藤 雄一郎 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70326031)
平野 美紀 香川大学, 法学部, 教授 (70432771)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥17,290,000 (Direct Cost: ¥13,300,000、Indirect Cost: ¥3,990,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
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Keywords | 臓器移植法 / 脳死 / 生体移植 / 自己決定権 / 臓器売買 / 臓器移植 / 子宮移植 / 小児移植 / 児童虐待 / 臓器移植ガイドライン / 意思表示カード / 移植医療 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、臓器移植法施行から22年、改正臓器移植法施行から10年を経た現段階において、同法をめぐるこれまでの状況を包括的に再検証し、あるべき臓器移植法政策は何かを踏まえた上で、今後の臓器移植法制に寄与するための提言を行うものである。具体的には、刑事法学的視点を中心としながら、医事法学・生命倫理学・臨床医学の知見をも援用するために、各領域の研究者からなる研究組織を構成し、そこでの分業的共同作業に基づいて、改正臓器移植法の問題点を抽出し、諸外国の制度と比較した場合のわが国の臓器移植法制の特徴を再定位した上で、より適切な移植医療を実現するための法システムを構築して公表する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和3(2021年度)は、前年度に引き続き、臓器移植法改正の論点の1つである、虐待の疑いのある児童からの臓器摘出制限の問題について検討を継続した。特に、この問題についてかねてから詳細な研究を公刊してきた古川原明子教授(龍谷大学)をお招きした研究会を実施し、虐待を理由とする摘出制限に果たして正当化根拠は存在するか、現場の小児科医らはこの制限に対してどのように対処しているか、といった視点からの知見を提供いただくとともに、本プロジェクトの研究代表者・分担者との意見交換を行った。小児科医らによる本制限に対する異論は強く、今後、臓器移植ガイドラインの内容にも影響を与えうる可能性があることについて認識を共有できた。 また、山口直也教授(立命館大学)の主催される神経法学研究会とも連携し、特に同研究会における脳死体からの臓器移植の最前線に関する研究会に参加させていただき、移植専門医との議論を重ねることにより、脳死臓器移植の現況と課題についての理解を深化させた。 さらに、障害を有する者のドナーないしはレシピエントとしての適格性に関しては、研究分担者の山本輝之教授の主催される精神医療法研究会とも連携し、そもそもわが国の法律は(精神保健福祉法以外の法を含む)は、国連の障害者権利条約(CRPD)に準拠しているのかという根本問題についての検討を行った。 これらの研究活動を通じて、移植医療の現状、またドナーおよびレシピエントに生じうる精神的・肉体的な影響の内実をできる限り正確に把握した上で、今後のあるべき臓器移植法制・法政策の方向性を考察するという体制をプロジェクト内に定着させることができたことは極めて有意義であったと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度と同様に、コロナ禍の影響により海外での訪問調査を実施することはできなかったが、国内での研究活動を充実させることにより、虐待を受けた児童からの摘出制限の論点のほか、臓器移植に関する情報提供・普及啓発のあり方、移植コーディネーターの養成、ドナー家族の支援問題については、各メンバーの努力により、相当程度の検討を進めることができた。またメンバーが過去の科研費プロジェクトにおいて取り組んだ、生体移植・病腎移植・臨床研究の諸課題との関連性を意識しながら、今回の臓器移植法改正問題に関して理解を深めることができたことも極めて有益であった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響で海外での訪問調査は困難な状況が続くことが予想されるが、国内での研究活動を引き続き充実させつつ、前年度に確認した臓器移植法改正の論点のすべてについて考察が広がるように努める。また、わが国では、臓器移植医療の地域(特)性というべき状況があることもこれまでの検討により明らかになったことから、今後は、特定の都道府県に焦点をあてつつ、地域医療との関連においてこれからの臓器移植法制ならびに法政策をどのように捉えていくべきかといった視点に基づいた訪問調査も行いたいと考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(17 results)