Project/Area Number |
20H01446
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇野 重規 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (00292657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 雅也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (20802086)
犬塚 元 法政大学, 法学部, 教授 (30313224)
加藤 晋 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (30553101)
野原 慎司 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 准教授 (30725685)
網谷 壮介 獨協大学, 法学部, 准教授 (30838272)
高見 典和 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60708494)
井上 彰 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80535097)
馬路 智仁 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80779257)
田畑 真一 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (90634767)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥16,250,000 (Direct Cost: ¥12,500,000、Indirect Cost: ¥3,750,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | ロールズ / 政治哲学 / 政治思想史 / 経済思想 / リベラリズム / 政治思想 |
Outline of Research at the Start |
1971年に公刊された『正義論』に端を発するジョン・ロールズの正義論は、いまなお自由、平等、そして民主主義をめぐる多様な研究の重要な基軸である一方、刊行から半世紀近くを経て、それ自身が一つの歴史になりつつある。本研究は、ロールズの正義論について、現代政治哲学における最先端の研究と、政治思想史や経済思想(史)からの歴史的な再定位を結びつけることで、「平等かつ自由な社会とは何か」というロールズの最も根源的な問いに答えることを目指す。この作業を通じて、政治哲学と政治思想史、さらに経済思想(史)研究の研究者のプラットフォームを作り、21世紀のリベラルな民主的社会のあり方を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまで行ってきたロールズ政治哲学の研究を進めるべく、今年度はまずロールズ政治哲学研究の最先端を示すものである齋藤純一・田中将人『ロールズ:社会正義の探求者』(中公新書)を取り上げ、著者のお二人をお招きして書評会を行った。書評者である宇野重規は同書の中から、まずロールズの信仰・戦争体験から彼の学問像を探った第1章に注目し、丸山眞男との比較の可能性に論じた後、彼が意図的に信仰から距離を取ったことの意義を論じた。さらに『政治的リベラリズム』を論じる第3章について、カントの影響や、リベラルな社会主義の可能性について検討した。またロールズの晩年を検討する第5章をめぐって、原爆への思いや天皇への留保、さらにリンカーンの持つ意義について問題提起をおこなった。もう一人の書評者である加藤晋は、この著作が日本の政治哲学者のoverlapping consensusであること、ロールズの議論の断絶性よりも連続性を重視し、『正義論』以降のロールズの議論の変化を丁寧に検討している点に同書の意義があることが論じられた。またロールズにおける普通の人々の判断への信頼や、包括的教説からあくまで区別される政治的構想の意味について問題提起がなされた。これに対する両著者からのコメントを受け、ロールズ政治哲学の思想的背景について、メンバー間での議論が深まった。 もう一回の研究会では、メンバーである野原慎司が自身の新著『人口の経済学』(講談社選書メチエ)をめぐって報告を行い、メンバー間で質疑応答を行った。野原は人口論が経済学でどのように論じられてきたかを包括的に論じ、重商主義からモンテスキューとアダム・スミス、マルサスと古典経済学、そしてケインズ以降の現代経済学、特にベッカーやサマーズの議論について詳細な検討がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2回の定例研究会のほか、東京大学グローバル地域研究機構との共催で蛭田圭のHannah Arendt and Isaiah Berlin: Freedom, Politics and Humanityの合評会を行うなど、充実した研究会活動を行うことができたのは、本プロジェクトの発展にとって極めて有意義だったと言える。 さらに研究代表者である宇野重規が所属する東京大学社会科学研究所の全所的プロジェクト「社会科学のメソドロジー」の「思想・歴史」班と連携し、「政治思想史と政治哲学」「熟議民主主義を再び考える」「リベラリズムとは何か」「政治思想史における過去の受容と継承」「リバタリアニズムの可能性」「道徳理論としての利己主義」などのテーマをめぐって議論を交わすことができたのも、本年度の重要な達成である。特に本プロジェクトの課題の一つである、政治哲学研究と政治思想史・経済思想研究を架橋するというテーマについては、大きく議論が進展した。 その一方、ロールズのアーカイブを中心とする海外への研究出張は今年度も実現することができなかった。オンラインによる対話によって一定の研究交流を行うことはできたが、本格的な海外出張は、今年度も持ち越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、プロジェクトに残された時間は長くないが、なお、海外研究者を招いてのシンポジウムの企画や、ロールズ・アーカイブ調査の可能性を模索する。その一方で、引き続きオンライン研究会を開催すると同時 に、一昨年度より継続している、ロールズをはじめとする現代政治哲学者たちがいかなる思考実験を行なっているか、政治哲学にお ける思考実験のデータベースの構築に努める。 さらに、今年度は最終年度にあたるため、これまでの研究成果をまとめ、書籍として刊行する計画を進めたい。具体的な出版社との交渉も進んでおり、ロールズにおける、特に『政治的リベラリズム』以降の議論に焦点を定め、幅広くそのリベラリズムの構想を総括していく予定である。
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