Project/Area Number |
20H01523
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07070:Economic history-related
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
村山 聡 香川大学, 教育学部, 名誉教授 (60210069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 昇 京都府立大学, 文学部, 准教授 (00416562)
服部 亜由未 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (70708370)
寺尾 徹 香川大学, 教育学部, 教授 (30303910)
石塚 正秀 香川大学, 創造工学部, 教授 (50324992)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥9,880,000 (Direct Cost: ¥7,600,000、Indirect Cost: ¥2,280,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
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Keywords | 小農経済 / 有機経済 / 環境史的地域研究 / 化石燃料消費社会 / 再生可能エネルギー社会 |
Outline of Research at the Start |
生態学的にも地質学的にも多様な地域において,いかに小農経済は生き延びることができたのか。あるいは逆に,今や風前の灯となっている小農経済,その衰退の根本原因は実は産業革命期における地域把握の決定的な転換にあるのではないかという仮説を,江戸・明治期そして大正期に残されている地誌の環境史的比較研究から検証する。経済史・環境史研究を基軸に,日本の近世近代文書研究,歴史地理学的な地理情報システム研究,そして気象学的解析からなる協働研究は,太陽光に基づく植物の光合成によるエネルギー創出を起点とする有機経済が地域の発展にいかに効果的であったか,あるいは何を起因にいかなる過程でそれが放棄されたのかを実証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究計画として共通しているのは次の三つの課題である。それぞれの課題を記述した後に,[実績]として。今年度の実績を叙述することにする。 ① 明治15年頃の地誌叙述の数量化に基づく地図化によって,地域環境を可視化する。[実績] 洪水・旱魃に関しては,さらなる可視化の精緻化を進め,また,水路等の灌水能力に関する叙述についても数量データの整理を行った。これらは論文化の段階に入っている。また土壌データに関しても,叙述データの数量化を試み,可視化の新たな展開が期待される。さらに最大の成果は,郡村誌の叙述データの可視化資料の検証の一環として,加佐郡の旧版地形図をもとに,土地利用GISデータが作成され,地図化も進められたことにある。令和4年度には,これらの対比研究に基づき,新たな論点を精査し,論文化を進めることができる。 ② 地誌から地図化することのできる地域環境の諸要素の中で、例えば、洪水・旱魃リスクは、気象条件並びに水文学的な河川条件などとの関係が深く,地誌叙述の自然科学的な検証を行う。[実績] 現時点での検証結果に関しては,東アジア環境史学会(EAEH 2021)での研究発表を行った。また,現在データおよび過去の気象ならびに水文学的なデータに関しても整理が進んでいる。上記の報告原稿の論文化ならびに他の観点からの理系と文系の協働した論文作成の段階に入っている。 ③ 有機経済的な基盤とその差異に関する実証研究において、村落単位の叙述は明治の町村合併によって大きく変化する。一村落そして複数の村落の持続性をいかに評価するか、検討する。[実績] この点,新たな文書調査ならびに史資料のデジタル化が不可欠であり,近世文書である木船家文書ほか多くの個別史資料の発掘ならびに資料整理を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下、1.歴史資料収集、2.水文気候学的分析、3.GIS分析、そして、4.比較環境史的分析のそれぞれにおいて予定通り研究が進展しており、総合的におおむね順調に進展していると判断できる。 1. 歴史資料収集とデジタル化は順調に進展している。①近世文書・木船家文書14ー330「郡御奉行様大庄屋屋鋪ニ而直ニ御咄ニ付」、14-82~141近世山論関係資料(丹後郷土資料館所蔵)・天保5年~嘉永3年「倉谷村相手福来村肥草薪并山道通路差障候出入一件」(綾部資料館、田辺藩裁判資料A212)②舞鶴郷土資料館所蔵・文政3「西国巡礼略打道中記」糸井文庫31-15・明治40「丹後国名産一覧表」糸井文庫29-25・大正3『沿革及記事 西大浦村』・昭和8『倉梯村史』行事・米相場,③京都府立京都学・歴彩館・明治17年頃「京都郡村誌」加佐郡・加佐郡村誌校正、統計表化・明治44頃加佐郡「維新以前民政調査資料一件」,その他,④国立国会図書館所蔵資料などのデジタル化および文書調査を進めた。 2. 水文気候学的分析に関しては,論文5本(すべて査読有),国際学会を中心とした学会発表は14本あり,今後も論文化は順調に進められると考える。 3. GIS分析に関しては,加佐郡の旧版地形図をもとにした土地利用GISデータが作成されたことを受けて,次の段階に進むことができる。また,上記の論文作成においてもすでに別の視点からのGIS分析が進められ,新たに可視化プロジェクトを発足させ,論文作成以外にも資料公開あるいは独自の生命空間アプローチの方法などの開示計画を進めている。なお,本研究の重要な論点である郡村誌系資料に関する19世紀初頭の江戸後期から明治期そして大正期の三つの時期に関する比較については文書調査を進めながらさらに個別のテーマでの検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
以下のような施策を通して,協働研究を推進する。 1. 2021年度は必読書の読書会を通して,異分野融合のプロジェクト故に知的な共通基盤の構築に努めてきた。その成果を受けて,PEiMA (Peasant Economy in Monsoon Asia) という本科研独自の研究会を続ける。 2. 本科研の趣旨とも一致する共同研究を推進してきたスロベニアとの二国間交流事業の成果を受けて,香川大学ICEDS(国際交流協定の一つ)の支援の下に,昨年11月20日に,本科研の趣旨を展開し,新たな研究組織である「環境経済史研究会」(The Histrocal Association for Environmentally Local Economy = HAELE) を立ち上げた。このHAELEは,World版と日本版を設けており,日本版では,3ヶ月に一度の研究会を開催する予定である。本科研の特に自然科学系の研究成果を受けて,5月5日に水関係のワークショップを開催する。そこでも一部,本科研の研究成果を公開する。 3. 上記のように,独自に立ち上げた研究会のほかに,各種国際学会,国内学会等で研究成果を公開し,種々の意見交換を通して,それぞれの専門分野における学術雑誌を念頭に,個々の論文作成を推進する。例えば,JpGU 2022での発表などを予定している。 4. ただし,すぐに論文化が可能な領域とは別に,特に地域を総体として把握できる歴史資料として、文化3年(1806)頃に作成された「田辺藩土目録」、明治15年(1881)頃の「京都府地誌 加佐郡村誌」そして大正14年(1925)『加佐郡誌』の三者をいかに比較分析するかはかなり難しい課題である。個々の専門分野に別れる種々の学会やPEiMAの研究会を通して,まだブレインストーミングを続け,個々の研究にフィードバックする。
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