Project/Area Number |
20H01579
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka City University (2020-2021) |
Principal Investigator |
島 和博 大阪公立大学, 人権問題研究センター, 特任研究員 (50235602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 道彦 大阪公立大学, 人権問題研究センター, 名誉教授 (00116170)
古久保 さくら 大阪公立大学, 人権問題研究センター, 准教授 (20291990)
廣岡 浄進 大阪公立大学, 人権問題研究センター, 准教授 (30548350)
妻木 進吾 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (60514883)
櫻田 和也 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (70555325)
佐々木 洋子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70647833)
鄭 栄鎭 大阪公立大学, 都市科学・防災研究センター, 特任講師 (70748227)
齋藤 直子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (90599284)
桜井 啓太 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (90751339)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥13,260,000 (Direct Cost: ¥10,200,000、Indirect Cost: ¥3,060,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
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Keywords | 社会問題空間 / 社会問題マップ / 都市の階層構造 / 都市の被差別空間 / 小地域統計 / 官庁統計データ / 社会地図 / 都市階層構造 |
Outline of Research at the Start |
本研究(都市「社会問題空間」の布置構造とその変容に関する研究)は、都市における社会的諸問題の「複合的」な「集積」および「拡散」を地図化することを通じて、「社会問題空間」の存在形態とその空間的な広がり、そしてそこで生きる人びとの生活上の困難の実態を、都市の階層構造という視点から明らかにする。 具体的には、都市の「社会問題マップ」と「階層マップ」を作成し、社会問題の「集積」と「拡散」の状況を明らかにしつつ、同時に、福祉行政施策に関する業務統計データの分析と、困難を抱える人々への直接的支援を市民活動として行っている人びとへの聞き取り調査による知見から、地図上に現れた「集積」や「拡散」の意味を読み解く。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、都市における社会的諸問題の「複合的」な「集積」および「拡散」を地図化することを通じて、「社会問題空間」の存在形態とその空間的な広がり、そしてそこで生きる人びとの生活上の困難の実態を、都市の階層構造という視点から明らかにすることである。 本年度は、「社会問題空間」を検出するための最も基礎的なデータである国勢調査のデータ整理を進め、具体的なデータの分析と「地図化」を試みた。その成果の一端として、研究代表者である島和博が、大阪市域をフィールドに、2010年の国勢調査データを独自に再集計して、都市大阪の階層構造という視点から、「社会問題空間」と「階層マップ」を作図してみせた(島2023)。これによって、居住空間の階層的位置による「棲み分け」の進行状況を大阪市にそくして地図化し、全体としての階層構造を明らかにした上で、小地域集計のデータから、等価可処分所得や学歴、就業状況などの指標、あるいは転入などの人口動態といったデータを組みあわせることで、大阪市内のいくつかの同和地区の実態を、周辺地域との比較の中で浮き彫りにした。なお、本研究では同和地区に注目するが、それは、ここ20年間において、その地域の状況とそこに暮らす人びとの生活環境がもっとも大きく変貌したのが大阪の同和地区であると考えるからである。 ちなみに、前年度の実績報告書に記したように、このような「社会問題空間」における人びとの生活の実態を、地域の問題状況に対応(対処)する人びとの日々の営みという視点から、いいかえれば地域 における(広義の)「社会運動」という視点から、明らかにすること、すなわち「社会運動」に媒介された地域と社会問題空間の変容を明らかにすること、これも今回の研究の大きな課題であるが、この研究のために必要な資(史)料収集も、引き続きの課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年からの新型コロナウィルス感染症の流行により、研究会のために集まることが極めて難しくなり、また関係者への聞きとりやフィールドワークも、ひとつには感染防止のため、また前提としての統計データの収集分析が前述の事情のために停滞したことで、遅延せざるをえなかった。 とりわけ、本研究の核となる社会問題地図の作成作業の中で、国勢調査データを時系列で接続するにあたり、小地域集計の地区番号が調査年によって異同があることが判明し、総務省統計局統計図書館にて地図と照合する調査が必要となったが、感染症予防の観点から遠距離移動を見あわせざるをえず、この影響で、さまざまな作業が玉突きでずれこんだ。 また、住宅土地統計調査、就業構造基本調査等の大規模官庁統計データや各地域に固有の問題状況を明らかにするための基礎データである自治体の業務統計データなどをどのようにして収集し、整理・分析するのかということについても、さらに議論と検討を重ねる必要があるため、成果のまとめにはまだ時間を要する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画では2020年度から2023年度までの4年間の期間を設定していたが、研究期間を延長して2024年度を最終年度とする予定である。 前述の島(2023)論文を土台に、各分担者がそれぞれ強みを有する課題にフォーカスしながら個別研究を進め、対面の研究会を持って、進捗状況の共有と相互討論による分析の深化をめざす。また、統計局統計図書館などへの資料調査のほか、延期していた関係者への聞きとりやフィールドワークを実現することで、統計からだけでは把握できない現地の事情を本研究で作成する社会問題地図とつきあわせて、本研究における社会問題地図の作成やその解読検討にフィードバックする。 とくに大阪府内(大阪市をふくむ。)の同和地区については、いくつかのモデル地区を選定して、検討を深めたい。ただし、島(2023)が注意をうながしているように、データを時系列で接続する作業が次の課題として待ちかまえており、その技術的な解決のために、試行錯誤もふくめて、かなりの労力を投入しなければならないようだということも見えてきており、かつまた、それは容易には外部に委託できないため、抱えこまざるをえず、本研究の進捗を左右すると思われる。また、その詳細な分析のためには、各々の同和地区における同和対策事業の歴史的展開過程を検証し、近隣ないし類似小地域と比較研究のために、関係者への聞き取りや関係資(史)料の収集を継続し、いくつかの同和地区および社会問題偏在地域におけるフィールドワークを追加する必要がある。 なお、共同研究の成果は、大阪公立大学人権問題研究センターのジャーナル『人権問題研究』の特集もしくはその別冊という形で報告書にまとめることとしたい。
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