Project/Area Number |
20H01747
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09080:Science education-related
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
中山 迅 宮崎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (90237470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猿田 祐嗣 国立教育政策研究所, その他部局等, 客員研究員 (70178820)
鈴木 誠 北海道大学, 高等教育推進機構, 名誉教授 (60322856)
松原 憲治 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総括研究官 (10549372)
山本 智一 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70584572)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,840,000 (Direct Cost: ¥6,800,000、Indirect Cost: ¥2,040,000)
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Keywords | 個人・地域・地球の文脈 / STEAM文脈 / 課題解決型授業 / 授業実践モデル / 科学教育 |
Outline of Research at the Start |
主体的かつ協働的に生きる人間の育成のため,協働的問題解決能力や,認識論的知識に基づく科学的探究能力の育成が急務とされるが,大規模調査の結果は,日本の児童・生徒にはそれらの力が十分ではないことを示している。これに対応して,科学教育カリキュラムを従来の内容ベースから,次世代型の文脈を埋め込んだ内容構成に組み替えるため,従来の文脈にSTEAMを加えた文脈的な「問い」の系列による教育内容の再構成と,それに基づく授業実践モデルを開発する。これにより,科学的内容が具体的な文脈に埋め込まれ,エンジニアリングの観点を取り入れた授業が実現され,科学的知識を具体的場面で有効に活用して行動する人間の育成につながる。
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Outline of Annual Research Achievements |
海外における,優れた文脈ベースの理科カリキュラムについては,コンピテンス基盤型教育で世界の中等教育を牽引するフィンランドに着目し,年2回実施されている日本の共通テストにほぼ該当する大学入学資格試験の問題に着目して内容を明らかにしようとしている。COVID-19感染拡大により国家教育委員会や現場での聞き取りができなかったため,大学入学資格試験から生物と化学を各5年間抜き出し,一部CBT化され動画も含まれる問題を一つ一つ翻訳する形で作業を進めている。 TIMSS(国際数学理科教育動向調査)の論述式課題の回答分析については,日本の児童・生徒が展開する論理(アーギュメント)に注目して,その弱点と強みを抽出している。また,新たに生物の生殖を取り上げた問題の回答について「トレードオフ」の観点での分析結果について学会で発表した。 教育実践モデルについては,災害の文脈でのプログラミング活用を含む小学校での実践に取り組み,事例研究として成果を発表した。さらに,教員志望の大学生を対象に,理科授業でプログラミングを行う模擬授業を実践し,ロールプレイ中心の授業において「観察者」の役割を加えた。学生の気づきを記述させたワークシートから,「客観的に」という言葉を含む記述を調べると,多くの学生が先生と子どものやりとりに注目できていることから,模擬授業における「観察者」の役割による効果が明らかになった。また,小学校第3学年で日常生活の便利なもの(トイレの自動照明)について,回路の概念やプログラムが活用されていることに理解させるとともに,回路に興味・関心を持たせ,プログラミング的思考を養うことのできる授業開発を行い,その効果を明らかにしている。教育課程については,資質・能力の育成を重視する教科等横断的な学びとしてのSTEM/STEAM 教育の意義について,教育政策文書等を基にした整理を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
海外における,優れた文脈ベースの理科カリキュラムと評価のあり方については,フィンランドで年2回実施されている大学入学資格試験の問題について,一部CBT化され動画も含まれる問題を一つ一つ翻訳する作業が化学領域についてほぼ終了し,生物領域に取りかかっている。 TIMSSの出題に対する回答分析については,日本の児童・生徒が展開するアーギュメントの弱点について,TIMSSの論述式課題の回答分析を進めるとともに,1995年から4年おきに実施している論述式課題の問題文をテキストデータとしてアーカイブ化する作業を開始している。さらに,新しい学習指導要領に基づく小中学校の記述分析も進めており,学習指導要領が改訂されたことで,教科書における児童・生徒の探究プロセスの指導に変化が生じていることが明らかになりつつある。これによって,従来から取り組んできた理科の基本的な学習指導モデルが変わる可能性が出てきた。また,学校で実際に取り上げられる文脈の幅が広がってきていることに対応して,プログラミングや食育を取り入れた教育実践モデルの開発にも,教師教育の中での取り組みに着手している。 STEAM文脈での教育課程については,高等学校の理数探究を担当する教師を対象とした「STEAM等の教科等横断的な視点から拡張する探究に関する研究会」を組織してこれに取り組み,STEM単元の開発を行った。また,探究の質と問い関する教師の支援の関係について考察を進めつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
海外における,優れた文脈ベースの理科カリキュラムと評価のあり方については,フィンランドの大学入学資格試験の問題について,一部CBT化され動画も含まれる問題の翻訳作業を生物領域についても進め,これまでに完了した化学分野のものと合わせて閲覧しやすい形式に整理を進める計画である。TIMSSの回答におけるアーギュメントスキルの分析については,これまでに実施した個々の問題の分析結果を整理し直して,日本の児童・生徒の弱点と強みを明確にすると友に,可能であればPISAの回答においても同様の傾向があるかどうかを明らかにしていきたい。 教育実践モデルの開発については,教員養成の場面において,授業で使用される教材の改善・開発を含めて,実践現場でのいっそう実施可能な形に近づける取り組みを続ける。 STEAM文脈での教育課程については,STEM単元の開発を素材とした教員研修プログラムという形での開発を進める。
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