Project/Area Number |
20H01812
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤木 剛朗 東北大学, 理学研究科, 教授 (60360202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正人 金沢大学, 数物科学系, 教授 (70263358)
梶木屋 龍治 大阪電気通信大学, 共通教育機構, 教授 (10183261)
上田 好寛 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (50534856)
藤江 健太郎 東北大学, 理学研究科, 准教授 (50805398)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,680,000 (Direct Cost: ¥13,600,000、Indirect Cost: ¥4,080,000)
Fiscal Year 2023: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
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Keywords | 発展方程式 / 非線形拡散 / 不可逆過程 / 破壊・損傷力学モデル / 勾配流理論 / 非線形・非局所 / 距離空間上の勾配系の摂動理論 |
Outline of Research at the Start |
拡散現象や相転移現象などの不可逆過程は, 時間の流れや老いなどの生命現象を理解する上で欠かせない. それらの古典論が前世紀末に確立されたが, 土壌汚染の拡散や物質の破損をはじめとする古典論の範疇を逸脱する様々な不可逆的現象が知られるようになり, またその特異な様相が現象の核心的特徴となることから, そのメカニズム解明が多くの注目を集めている. ここでは異常拡散や破壊現象をはじめとする古典論の枠組みから逸脱するような不可逆過程を記述する発展方程式を扱い, 方程式に内在する様々な構造を効率的に活用することのできる数学理論を構築し, 応用として解の漸近挙動に現れる特異性を定性的・定量的に分析する.
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Outline of Annual Research Achievements |
1. 破壊力学等に現れる強い不可逆性を有する散逸系の研究 当初予定されていた計画は既に完了している. ここでは研究期間中に派生した追加課題としてエネルギー保存則を満たす強い不可逆性を保つ発展方程式のクラスに着目し, その適切性や解の性質・漸近挙動について解析した. 特に強い不可逆性, 片側最小性, エネルギー保存則を同時に満たす発展方程式という観点で問題設定を行い, 包括的な研究を行ったのはこの研究課題の独自性と言える. 2. 非整数階微分作用素を含む発展方程式の研究 当初予定されていた計画は既に完了している. 追加課題として, 非整数階微分を伴う発展方程式の解の漸近挙動に関する研究を行い, 特に (非整数階微分版の) 勾配系の解がエネルギー汎関数の最小元に収束することを, あるクラスの凸汎関数に対して証明した. この結果はまだ展開が期待されるため, さらなる改良に取り組む. 3. 距離空間上の勾配流に対する摂動理論とその応用 -部分的勾配構造 距離空間上の勾配流には変分法が不可欠な役割を果たしてきた. 一方, 摂動問題は変分構造を壊してしまうため, 変分法の直接的な適用は期待できない. ここでは距離空間上の勾配流に対して導入した摂動理論の枠組みを用いることで, (単純化のためヒルベルト空間上の) 勾配系に対する摂動問題の可解性を直接的に変分法を用いることで証明している. この結果は U. Stefanelli 氏, R. Voso 氏 (ウィーン大) との共同研究で, 論文として投稿中である. 当初予定されていた課題は概ね完了した. 4. 非線形拡散方程式に対する解挙動の定量解析 定量的勾配不等式の開発がここでの最大の発見と言える. この不等式は解の収束レートを特定するような定量的情報を引き出すことができる. 結果は論文として出版された. 当初予定されていた課題は完了した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初, 本研究計画で予定されていた課題は概ね解決している. またその過程で生じた追加課題についても成果が得られており, 順調に進展していると言える. 新たに浮上した課題も複数あり, ここまでに得られた結果をさらに発展させるための見通しも既に立っている. また研究成果も論文として取りまとめられており, 投稿中のものも複数ある. さらに国内外の研究集会などで研究成果を発表しており, 興味を持った関連分野の研究者から延長線上にある問題に関する問い合わせもあり, 今後のさらなる展開が期待される. また本研究計画の成果を踏まえ, 発展方程式論とその周辺分野に関するレクチュアノートを作成中であり, 今後, 大学院生や新規参入する研究者がいち早く理論の基礎を把握できるように研究資料として活用する. さらに発展方程式若手セミナーをはじめ, 発展方程式論とその周辺分野を専門とする若手研究者の活動を奨励し, 人材育成にも務めた. 一方, 関連分野の研究者の招聘やこちらからの訪問による研究成果の発表や情報交換に関しては, 先方の都合と合致せずに見合わせることになった. 今後, 予定が調整でき次第, 招聘・訪問を実施する.
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題における問題解決は概ね完了しているので, 延長期間中は主に成果報告や論文発表に取り組む. 特に 2023 年度は海外が見送られた日本・イタリアの合同シンポジウムは 2024 年度中に開催が予定されているため, それを通して複数の国際的な研究グループが交流する場を設け, そこで当該研究課題で得られた成果についても議論したい. またレクチャーノートなどの整備は継続し, 本研究課題の成果を盛り込んだ資料の完成を目指す.
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