Project/Area Number |
20H01816
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
二宮 広和 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (90251610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 雅人 宮崎大学, 工学部, 教授 (00242264)
谷口 雅治 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (30260623)
物部 治徳 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (20635809)
三竹 大寿 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (90631979)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,420,000 (Direct Cost: ¥13,400,000、Indirect Cost: ¥4,020,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2022: ¥5,330,000 (Direct Cost: ¥4,100,000、Indirect Cost: ¥1,230,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,720,000 (Direct Cost: ¥4,400,000、Indirect Cost: ¥1,320,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | 反応拡散系 / パターンダイナミクス / 自由境界問題 / 特異極限法 / 特異極限問題 / 伝播現象 / 全域解 / 特異極限系 / 進行波解 |
Outline of Research at the Start |
時間発展を伴うさまざまな現象は,非線形放物型偏微分方程式で記述されルことが多い.本研究課題では主に反応拡散系を取り挙げる.反応拡散系の解のダイナミクスは数値的にはいろいろと調べられているが,数学的には解のダイナミクスはあまり分かっていないのが現状である.本研究課題では,反応拡散系の解のダイナミクスを決定するため,特異摂動系を用いる解析手法を提案し,全域解のもつ普遍的な数理構造を抽出することで,解のダイナミクスの決定を行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
非線形放物型偏微分方程式の解のダイナミクスを決定することは,非線形放物型偏微分方程式の理論的研究における重要な問題のひとつである.しかし,比較的簡単と考えられる反応拡散系でさえ,解のダイナミクスを決定できていないのが現状である.本研究課題では,反応拡散系の解のダイナミクスを決定するための解析手法の開発と普遍的な数理構造の抽出を行うことを目的としている.反応拡散系の解の普遍的数理構造を抽出するにあたっては,未知変数の数,反応項(非線形項),空間の次元,領域が主要なパラメータとなる.解のダイナミクスを決定するアトラクターを調べることは,その要素である全域解の特徴付けることに対応しているので,前述の主要なパラメータを変えることで,次の3つのテーマを扱う. (1)単独反応拡散系の全域解の特徴付け (2)特異極限系の適切性・収束性・全域解の特徴付け (3)複雑領域におけるパターンダイナミクスの数理解析 (1)では,多次元双安定単独反応拡散系の全域解の解析を行った.放物型方程式の場合,時間が負の方向では,一般に適切な問題ではないので,全域解は特殊な解であるが,アトラクターの要素であるため,普遍的な時間大域的な挙動をもつ重要な解である.Allen-Cahn-Nagumo型の反応拡散方程式の新しいタイプの全域解を構成に成功した.これは,遠方から安定な状態が伝播してくる解であるが,その波面の形状は,無数にあり得ることを示した.一方,不安定平衡解から発生する全域解は,3種類に分類されることを示した.(2)では,反応拡散系の特異極限系である反応界面系の解の挙動に関する研究を行い,1次元の場合に,その挙動を分類することに成功した.(3)では,血管新生のモデルについての予備的な研究を行った. また,明治非線型数理セミナーやRIMS共同研究(公開型)などを開催し,情報収集とともに研究成果の公表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)では,Allen-Cahn-Nagumo型の反応拡散方程式の新しいタイプの全域解を構成に成功し,論文にまとめて発表した.これは,遠方から安定な状態が伝播してくる解であるが,その波面の形状は,無数にあり得ることを示した.一方,不安定平衡解から発生する全域解は,遠方へと伝播していく解を含む3種類の解に分類されることを示し,論文にまとめて発表した.凝結・分裂モデルに現れるHamilton-Jacobi方程式の解の長時間挙動について,幾つかの結果を得ることができた. (2)では,反応拡散系の特異極限系である反応界面系の解の挙動に関する研究を行い,1次元の場合にその挙動を分類することに成功した.また,Hamilton-Jacobi方程式の全域解の特徴付けについて研究を進めた. (3)の準備として,面積保存曲率流や血管新生モデルについて研究を始めた.面積保存流に関する研究は,口頭発表を行い,論文にまとめているところである.血管新生のモデルに関する研究は,準備的な研究を行い,論文発表することができ,順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)では,単独反応拡散系の全域解の特徴付けを行うため,符号変化する全域解の特徴付けの方法については継続して考察していく.そのため,時空間に依存する係数をもつ熱方程式の全域解についても調べていく.多次元双安定単独反応拡散系のいくつかの進行波解や全域解の解析に成功したので,全域解と進行波解の関係性をさらに調べていく.また,進行波解の速度の決定は応用上重要である.進行波解の速度の決定について単独反応拡散系,競争拡散系で調べていく.(2)では,まず,反応拡散系の特異極限系である反応界面系の解の挙動に関する研究をさらに進める.特に,2次元での可解性の条件を特異極限問題の数値計算を行いながら調べていく.Hamilton-Jacobi方程式の全域解の特徴付けについて研究も継続して研究を進めていく.加えて,反応界面系の回転スパイラル解の厳密な構成や多成分の反応界面系の解析を行う.(3)については,外部領域の形状がパターンダイナミクスに与える影響を調べる.また,障害物のある外部領域の場合における伝播現象を全域解によって特徴付ける.障害物がxy方向に周期的な場合の全域解の存在証明を行う.領域が空間非一様な場合も考察する.まず,反応拡散系における拡散係数の空間依存性がダイナミクスに与える影響を調べていく.さらに,空間非一様性が細胞運動に与える影響を調べるために,面積保存曲率流のダイナミクスを調べていく.
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