Project/Area Number |
20H01821
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12040:Applied mathematics and statistics-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 宏志 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (00362583)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川越 大輔 京都大学, 情報学研究科, 助教 (30848073)
大石 直也 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40526878)
吉川 仁 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (90359836)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2021: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
Fiscal Year 2020: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
|
Keywords | 逆問題 / トモグラフィ / 輻射輸送方程式 / 数値解析 / 数値計算 / 部分観測 / イメージング / エックス線トモグラフィ / 陽電子断層撮影 / 再構成 |
Outline of Research at the Start |
医用イメージングは,画像診断を支える基盤技術である.代表的なものに,X線をもちいた計算機トモグラフィ(断層撮影法)があるが,これはX線の直進性を本質的に利用しており,高効率な手法が開発と高画質化に成功し,実用に寄与している.一方,先進的なイメージング手法では,信号が必ずしも直進せず,生体内で散乱を受けるものが利用されており,画像の劣化や信頼性の低下といった問題点が指摘されている.本研究では,これら散乱信号をもちいるイメージング手法の信頼性と高精度化のために数理科学と数値解析学の視点から研究をおこない,新たなトモグラフィ方法論の確立に取り組む.
|
Outline of Annual Research Achievements |
粒子線をもちいる断層イメージングに関して,2つの成果を得た.ひとつは,PETの数理モデルである輻射輸送方程式の非斉次項決定逆問題について,領域の境界の一部での観測から領域内部の粒子源を決定する手法の数値的性質について調べた.また,輻射輸送方程式の係数決定逆問題について,2次元において減衰係数の決定の定量的性質を調べた. 前者は,例えば陽電子放出断層撮影の数理モデルであり,境界の一部でのみ観測データが得られる場合の再構成手法の数値的信頼性を考察した.数学解析的な再構成については前年度までに結果を得ていた.この解析的な手続きの途中でCauchy核をもつ特異積分方程式が現れる.本研究ではその数値的信頼性までをも含める包括的な研究であり,この特異積分方程式を複合中点則とGalerkin法もしくは選点法で離散化して得られる連立一次方程式の条件数が,Hilbertの不等式に関する結果を利用することで,分割数に関して高々線型でしか増大しないことを明らかにした.ある特別な条件下では,この成果は代表者・分担者・海外の研究協力者の共著により昨年度に論文を発表していたが,これについて本年度,2021年度日本計算数理工学会論文賞を授与された. 後者は,例えばひかりトモグラフィの数理モデルである.分担者が明らかにしていた,境界値から誘導される解の不連続性をもちいた再構成手法について,代表者および海外の研究者とともに数値計算のフレームワークを提案した.また実際に数値実験をおこなったところ,定量的にも妥当な再構成結果を得るに至った.この結果に関連して,分担者が2022年度日本数学会応用数学研究奨励賞を授与された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,ふたつの主要な成果を得るとともに,それぞれについて代表者・分担者・海外の研究協力者が共同で論文賞を授与され,また分担者が単独で学会賞を授与された.これらは当初の予想をこえて評価されたものと考えている.一方で,成果発表も含め,研究の進捗は前年度までの順問題および逆問題の数学解析的手法について数値的考察をおこなうという当初の計画通りに進行しており,「おおむね順調に進展している」と判断した.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでに得られた特別な条件下での数学解析・数値解析の結果を,より一般の状況において調べ,妥当性を検証する.前年度までに輻射輸送方程式の境界値問題について,大規模数値計算手法や,従来になかった手法による非斉次項の再構成,減衰係数の再構成の数値計算に取り組んで成果を得た. 輻射輸送方程式の場合,今年度までは簡単なモデル,すなわち領域形状や介在物が簡単な方程式で現れる場合を考えていた.今後,これを応用可能性を検証すべく,X線CTやMRIなどで取得される解剖学的情報を利用して粒子線の伝播のシミュレーションをおこなう.そのために,これまでに構成した計算機プログラムで,これら解剖学的情報を入力・保持・利用可能なよう拡張する.そのうえで,提案手法による粒子線トモグラフィの可能性や妥当性について検証する. また,これらの成果は国内外の論文誌で発表してきたが,引き続き,応用数学・逆問題の研究者とディスカッションを行い,その妥当性の検証や,粒子線をもちいる他の次世代トモグラフィとの関連など周辺学術の調査も引き続きおこない,本成果の位置づけを明確にする.
|