巨大カルデラ形成噴火におけるマグマ蓄積プロセスの特異性の解明
Project/Area Number |
20H02001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栗谷 豪 北海道大学, 理学研究院, 教授 (80397900)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥18,070,000 (Direct Cost: ¥13,900,000、Indirect Cost: ¥4,170,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2020: ¥12,220,000 (Direct Cost: ¥9,400,000、Indirect Cost: ¥2,820,000)
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Keywords | カルデラ / 珪長質マグマ / マグマ溜まり / 火山岩 / U-Th放射非平衡 |
Outline of Research at the Start |
巨大なカルデラを形成する大規模噴火は、地球上で最も破局的な自然現象の一つであるが、その破局性を特徴づける膨大な量の珪長質マグマの準備にはどのような特異的な条件が必要であるのかという、本質的な問題が未解明である。そこで本研究では、国内の代表的なカルデラ火山を対象に U-Th 放射非平衡を軸とした物質科学的解析を行い、マグマが多量に蓄積されるに至った特異性の要因を実証的に明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国内の代表的なカルデラ火山を対象に U-Th 放射非平衡を軸とした物質科学的解析を行い、マグマが多量に蓄積されるに至った特異性の要因を実証的に明らかにすることを目的とする。2年目は、1)初年度に実施できなかった阿蘇カルデラでの試料採取、2)当初から予定されていた姶良カルデラでの試料採取、3)採取済の支笏・洞爺カルデラ、および採取予定の阿蘇・姶良カルデラの試料を対象とした基礎的な化学分析の実施、および4)U-Th放射非平衡解析を行う予定であった。引き続きコロナ禍のために阿蘇カルデラにおける野外調査および試料採取は実施できなかったが、姶良カルデラについては約9万年前以降の先行噴火の噴出物、および約3万年前のカルデラ噴火の噴出物について、全て予定通りに試料採取を実施することができた。また支笏・洞爺・姶良の代表的試料を対象に化学分析を実施し、全岩の主要元素濃度・微量元素濃度・Sr-Nd-Pb同位体比のデータを全て揃えることができた。そして特に支笏カルデラ噴出物についてU-Th放射非平衡分析および解析を行い、カルデラ噴火に関与した比較的新しい珪長質マグマについては、おおよそ15 km3/万年程度の生成率で生成したという、重要な成果が得られた。支笏の後カルデラ活動のマグマ噴出率(約20 km3/万年)と比較してマグマ生成率は高くないことから、少なくとも支笏火山におけるカルデラ噴火の特異性は、珪長質マグマの生成率が高かったことではなく、長期間にわたってあまり活発な噴火活動が起きずにマグマの蓄積が継続したことにあったことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年間の研究期間のうち、2年間はコロナ禍のために野外調査が制限されたことから、採取試料の物質科学的解析を軸とする本研究の計画に遅れが生じている状況である。ただし、特に支笏や洞爺カルデラについては、研究室に保管されている試料をうまく活用するなどの方策により、研究計画の大幅な遅れを食い止めることができており、研究成果については、ほぼ順調に得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
1~2年目での実施を予定していた阿蘇での野外調査・試料採取を3年目に回し、また当初から予定していた十和田カルデラについても3年目に調査を実施する予定である。また、阿蘇・十和田カルデラの試料を対象に化学分析を実施するとともに、既に基礎的な全岩化学組成データが揃っている洞爺・姶良カルデラの試料を対象に、U-Th放射非平衡分析およびデータの解析を進める予定である。予定していた3年間の研究期間内での終了は厳しい見通しであるが、想定していた研究目的は約1年程度の遅延で概ね到達できる見込みである。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)