Basic Study on Plasma Nitriding Process and NH radical
Project/Area Number |
20H02133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21010:Power engineering-related
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
市來 龍大 大分大学, 理工学部, 准教授 (00454439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立花 孝介 大分大学, 理工学部, 助教 (10827314)
金澤 誠司 大分大学, 理工学部, 教授 (70224574)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥18,200,000 (Direct Cost: ¥14,000,000、Indirect Cost: ¥4,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2020: ¥12,090,000 (Direct Cost: ¥9,300,000、Indirect Cost: ¥2,790,000)
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Keywords | プラズマ窒化反応 / NHラジカル / 大気圧プラズマ / レーザー誘起蛍光法 / 質量分析 / NHラジカル / 質量分析法 |
Outline of Research at the Start |
地球大気の8割を占める窒素が金属や半導体と化学反応すると,その材料に有用な機能が発現する例が多数知られている.窒素と材料を効率的に反応させる方法として,プラズマ窒化反応が用いられる.この分野ではNHラジカルがプラズマ窒化反応を促進されると言われてきた.そこで本研究ではNHの窒化反応性を詳細に調査し,NHが本当に窒化反応に有用なのか,またどのように有用なのかを明確にする. 具体的にはレーザー誘起蛍光法によりNHを観測する実験系を構築し,最終的にNH密度と窒化反応の相関性を明らかにする.NHの窒化反応性が明らかになれば,エネルギー消費を抑えた新たな高効率窒化技術の創成につながると期待される.
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Outline of Annual Research Achievements |
○ NH2ラジカル蛍光の調査 窒素-水素パルスアーク型大気圧プラズマジェットに照射するパルスレーザー波長を約385nmに調節することで,400nm付近のNH2ラジカル蛍光を観測する系を実現した。前年度のNHラジカル蛍光実験と同様の観測を行った結果,NHとは対照的にジェットプルーム中のNH2ラジカルは検出限界以下しか存在しないことが明らかとなった。 ○質量分析法によるプラズマジェット由来N原子信号の検出 差動排気を搭載した四重極質量分析計を用い,以下の手順でジェットプルームからサンプリングしたガスのN原子の信号検出を行った。直径0.5,1,2mmのオリフィスにジェットプルームを照射した。分子量28に対する分子量14の強度比から単位N2密度あたりのN強度を換算し,プラズマ点火時と未点火時の換算値の差を取り,その値を改めて「検出値」と定義し照射距離および水素分圧依存性を求めた。その結果,検出値は照射距離の増加に伴い減少し,また水素流量比の増加に伴い増加する傾向を示した。 ○ 誘電体バリア放電のNH蛍光観測実験 平板型誘電体バリア放電に対してレーザー誘起蛍光法を適用するための,専用放電極・蛍光観測装置を完成させた。100mm四方の誘電体バリアおよび放電極系を内包できるサイズの石英製密閉容器を作製し,側面にレーザー照射用,蛍光観測用の無水石英窓を合計4つ設置した。ミラー等の各種光学系を配置し,バリア放電極系のギャップ間にパルスレーザーを照射し,ICCD搭載分光器によってラジカルの蛍光を観測する系を構築した。新たにシース状バリアを開発し,レーザー断面内にのみ選択的にバリア放電を点火する局所放電系を実現した。前年度にプラズマジェット中のNH観測に成功した際と同一のLIFおよび観測パラメータを採用したにもかかわらず,バリア放電中ではNHラジカルは検出限界以下であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず基底状態のNH2ラジカルをレーザー誘起蛍光法で観測する計画は,プラズマ科学の領域では極めて前例の少ない試みである。また,令和3年度の研究成果により当該プラズマ中にNHラジカルが多量に存在し,存在密度のプラズマ中空間分布やガス組成依存性までが明確になったことと,今回のNH2ラジカル検出の結果が容易に比較できる点に学術的価値が見いだせると期待される。今回の実験結果として,NH2ラジカルが検出限界以下しかプラズマ内に存在しないことが明確となった。この実験事実と上述のNHラジカル特性とを比較することにより,令和5年度に行うプラズマ窒化反応素過程の理論的考察を進める。 一方,質量分析法によるN原子検出の試みについても窒化処理を目的とする大気圧プラズマへの適用は国内外初であり新規性が高い。今回の研究により,分子量14に相当する検出信号の実験パラメータ依存性がまずは明確に得られた。これによりプラズマ窒化反応素過程の理論的考察と実験結果の比較を行っていくことが可能となった。今後は得られた信号の信憑性を明確にすべく,使用した差動排気系におけるイオン輸送を理論的に考察する。 さらに,誘電体バリア放電におけるNHラジカルのLIF観測については,当初予定であれば令和4年度内に実験系の構築までを予定していたものの,実際にはこれに加えラジカル観測まで進めることができた。その結果,プラズマジェット窒化系とは対照的に,バリア放電窒化系ではNHラジカルが重要ではないという実験結果を得ることに成功した。この実験事実から,プラズマジェットおよびバリア放電による窒素ドーピングを詳細に比較することにより,NHラジカルがどの程度窒化に寄与しているかを明確にする研究が可能になると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
○ 質量分析法によるバリア放電プラズマ中N原子の調査 令和4年度にプラズマジェット中のN原子の調査に使用した質量分析法を初めて誘電体バリア放電による窒化実験系に適用するため,専用の放電極・粒子検出系を新たに開発する。製作した実験系を用い,窒素-水素混合ガスを動作ガスとするバリア放電プラズマから検出されるN原子信号強度について調査する。ここでは実験パラメータとして,主に動作ガス中の水素ガス混合比が重要となる。この調査により,プラズマジェットに加えバリア放電プラズマ中のN原子の生成・消滅の素過程を考察するうえで必要となる実験データを獲得する。 ○ 窒素ドーピング量と窒素粒子種密度の相関調査 これまでの本プロジェクト研究により,プラズマジェット中に存在するNHラジカル密度は動作ガス成分など実験パラメータに強く依存することが明らかとなった。ここでは実験パラメータを大幅に変化させることによりNHラジカル密度を意図的に大きく振る。この条件下においてジェットプルームから鉄鋼表面にドーピングされるN濃度を調査し,NHラジカル密度と窒素ドーピング量の相関を定量的に調査する。また,質量分析法によるN信号検出特性とも比較を行い,窒素ドーピングを促進する窒素粒子種について議論を行う。 ○ プラズマジェット中NHラジカルの生成・消滅素過程の数値的調査 上述のように,これまでプラズマジェット中のNHラジカル密度は実験パラメータにより大きく変化することを明らかにしてきた。ここではその実験データを参考にして,プラズマ中でNHラジカルが生成・消滅する化学反応素過程を数値的に調査し,NH密度特性をよく説明できる素過程モデルを提唱する。適切な素過程モデルが明らかになれば,それをフィードバックさせることでこれまでにない高NH密度を目指すといった新規技術の実現に貢献できるようになると期待される。
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Report
(3 results)
Research Products
(40 results)