鋼構造部材の安定性評価手法の統一化およびその応用としての合理的設計手法の確立
Project/Area Number |
20H02294
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23010:Building structures and materials-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
五十嵐 規矩夫 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (40242292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三井 和也 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 助教 (60862224)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,550,000 (Direct Cost: ¥13,500,000、Indirect Cost: ¥4,050,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2021: ¥6,760,000 (Direct Cost: ¥5,200,000、Indirect Cost: ¥1,560,000)
Fiscal Year 2020: ¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
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Keywords | 建築構造 / 鋼構造 / 部材 / 安定性 / 統一的性能評価 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,使用部位および条件が限定された上で行われてきた鋼構造部材の安定性評価を統一的に行う手法を構築し,その成果を用いた合理的な設計手法を提案することを目的としている.これまでの部材性能評価の中で,不明確,不十分,不連続な部分を再度検討,評価した上で,連続的指標を用いた鋼構造部材の安定性能評価を行う.その中で,載荷実験による実挙動の把握から理論的モデルを構築し,数値解析結果を活用し連続的かつ統一的評価関数を設定する.本成果により,鋼構造部材の新たな設計体系を創出できる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,鋼構造に対する設計行為の明確化および合理化に繋げる鋼構造の設計体系の高度化を図るために,その設計手法が連続かつ統一的となることを目指し,鋼構造部材の使用条件範囲を区分,設定,限定しない統一的な安定性評価手法を構築することを目的としている.具体的には,(1)主要構造部の部材として使用されていない薄い板厚の範囲における部材挙動およびその構造性能の解明,(2)鋼構造部材の軽量化,大断面化に伴う断面形状および補剛等を考慮した周辺部材の簡略化,(3)現行規準,指針における仕様,使用範囲から逸脱している部材の詳細な部材性能評価であり,研究全体は5つのサブテーマから構成されている. 以上の目的のため3年目の令和4年度は,サブテーマ「3)薄板H形断面部材の安定性評価の高度化と接合部への展開」および「4)冷間成形角形鋼管部材の連成座屈不安定挙動の解明」に関して主に検討した.また令和3年度に引続き,サブテーマ「1)圧縮力および引張力を受ける非対称断面部材の弾塑性性能評価」,「2)圧縮力および曲げを受ける組立部材の安定性評価」を拡大して行なった. サブテーマ3)ではL型接合部架構を用いた載荷実験により接合部パネルの実挙動を確認し,終局状態および耐力について検討した.サブテーマ4)については,冷間成形角形鋼管部材の性能について,材料特性を考慮した繰返し挙動の解明とその評価を行った.繰返し載荷実験と材料特性のモデル化を行い,それらの結果を受けたパラメトリックな数値解析を通して,部材の繰返し特性を解明した. 非対称断面単独部材の安定性に関しては,サブテーマ1)で偏心引張接合部耐力評価の精緻化を行うとともに,サブテーマ2)につながる接合要素および接合部の力学特性を明らかにした.加えて,偏心圧縮部材の座屈耐力の算定および現行設計式の妥当性について検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,その使用部位および条件が限定された上で行われてきた鋼構造部材の安定性評価を統一的に行う手法を4年間の研究期間の中で構築し,その成果を用いた合理的な設計手法を提案することを目的とし,以下の5つのサブテーマを設定している. 1)圧縮力および引張力を受ける非対称断面部材の弾塑性性能評価,2)圧縮力および曲げを受ける組立部材の安定性評価,3)薄板H形断面部材の安定性評価の高度化と接合部への展開,4)冷間成形角形鋼管部材の連成座屈不安定挙動の解明,5)新規安定性評価手法を踏まえた合理的設計手法の確立と展開 令和4年度までの3年間で実施した各サブテーマの検討内容は以下の通りである. サブテーマ1)については,短注非対称断面の圧縮力作用時における座屈モードの分類とその座屈性状を明らかにし,統一的な座屈耐力評価を可能にした.また,偏心圧縮部材の座屈耐力および引張材接合部の最大耐力の算定を行い,それらの現行設計式の妥当性について検討した.サブテーマ2)については,組立圧縮材の安定性に関して数値解析的に明らかにするとともに,組立材の安定性に強く関係する接合要素,接合箇所の耐力および剛性等の力学特性を実験により確認した.サブテーマ3)については,薄板H形断面部材を用いた柱梁接合部のせん断座屈耐力を,理論解析,数値解析にて確認した.またL型接合部架構を用いた載荷実験により,その終局状態および耐力について検討した.サブテーマ4)については,冷間成形角形鋼管部材の性能について,材料特性を考慮した繰返し挙動の解明とその評価を行った.繰返し載荷実験と材料特性のモデル化を行い,それらの結果を受けたパラメトリックな数値解析を通して,部材の繰返し特性を解明した. 最終年度である令和5年度に向けて,これまでの検討内容を再度見直した上で修正を加え,最終的な統一的評価,合理的設計につなげていく準備を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は本研究課題の最終年度にあたるため,これまでの研究成果をまとめることを第一の目的にサブテーマ5)を実施する.なお,令和4年度に行ったサブテーマ4)についても検討を継続する.サブテーマ4)に関して令和4年度には,冷間成形角形鋼管部材を主な検討対象とした計画当初の検討項目に加えて,材料特性を考慮した繰返し挙動の精緻な把握と塑性変形能力評価手法の検討およびその評価を行なってきた.その検討課題の重要性,実設計における必要性が認識されてきたため,令和5年度はH形断面部材の繰返し荷重に対する崩壊形式決定要因の解明および終局耐力評価法を検討する.数体の繰返し載荷実験を予定する. また,これまで検討してきたサブテーマ1)ー3)について,数値解析的手法,理論解析的手法を用いて検討し,これまでの検討における不明確部分のさらなる解明や載荷実験では検討範囲外であった領域への設計手法の拡張,展開を図る.具体的にはサブテーマ1)で引張材接合部の数値解析検討を継続するとともに,非対称断面部材曲げ応力作用下の挙動解明に着手する.サブテーマ2)では,組立部材に必要な接合要素の構造性能に関する検討を詳細に行い,数値解析モデルの提示とその精度向上を図る.これまで不明確であった接合要素の剛性評価を可能にし,組立材の安定性評価の高度化に繋げる.サブテーマ3)では,様々な形状および荷重条件における座屈挙動を理論解析的手法を用いて検討し,設計に際しての基本的なデータを採取する.これらサブテーマ1)ー3)に関わる事項は,今後の研究展開を図る上での準備段階とも位置付けられる. その後,これまでの検討内容を再度見直すことと同時に,今後の研究につながる課題を洗い出すとともに,得られた成果を統合することで,新たな安定性評価手法を踏まえた合理的設計手法の基本概念を提示する.
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Report
(3 results)
Research Products
(68 results)