Studies on the development of Hellenistic architecture I – Rise of the royal palace at Pella
Project/Area Number |
20H02339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉武 隆一 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70407203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 明子 (中川明子) 徳山工業高等専門学校, 土木建築工学科, 准教授 (10442469)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥16,380,000 (Direct Cost: ¥12,600,000、Indirect Cost: ¥3,780,000)
Fiscal Year 2022: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2021: ¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2020: ¥6,500,000 (Direct Cost: ¥5,000,000、Indirect Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | ギリシア建築 / ヘレニズム / マケドニア / ペラ / 宮殿建築 / 古代マケドニア / 王宮 / 宮殿 / ペリスタイル / 列柱中庭 / パライストラ / 復元 / 西洋建築史 / 古代ギリシア |
Outline of Research at the Start |
ヘレニズムの王宮建築は、この時期に登場した新たなビルディング・タイプの一つである。一般に、複数のペリスタイルの中庭を持つ複合建築で、大きな謁見ホールをもち、従来は「神々の家」として古くから宗教的な場所であったアクロポリス(小高い丘)に造営されたが、詳細は不明な点が多い。本研究では、アレキサンドロス大王の生まれ故郷として知られる古代都市ペラの王宮遺構について、ギリシャ政府考古局と共同で調査を行い、実測調査で得られる一次資料を収集する。また、欧米各国の研究所や大学等の附属図書館にて、関連する遺跡の調査資料を収集し、比較分析を通して当該建物の復元考証を行い、その歴史的価値を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
ペラ王宮はアレキサンドロス三世をはじめとする歴代マケドニア王朝の住まいとして知られる。1980年代の発掘によってその存在は知られていたが、研究体制の不備などが原因で発掘成果を十分に消化できないまま現在に至っていた。近年では既往研究の再検討と新史料の発見を目的に、遺構の再発掘が欧米各国で進められている。こうした国際的な研究状況のもと、本研究ではギリシア政府文化庁ペラ考古局の協力で、建築分野の立場から共同研究者として参画し、ヘレニズム王宮に関する新たな知見を獲得することを目指している。ペラ王宮は主に七つの区画(I~VII)からなり、令和3年度までに区画Ⅰの調査を実施済みである。令和4年度には引き続き、北西に位置する区画V(パライストラ=青少年の教育体育施設)の現地調査を実施した。 ペラ王宮の中心部は田の字型に配置された四つの区画からなり、南側の区画IとIIは公的空間、北側の区画IVとVは私的空間とされる。区画Vは壁外法で東西約63.5 m×南北約65. 2 mの長方形をなし、中央にはペリスタイル列柱中庭(基礎内法で東西約49.3 m×南北約37.0 m)があって、その周囲を奥行約5.0~6.3 mの列柱廊が巡る。ペリスタイルの列柱は基礎しか残っておらず、上部を構成する石材が一切発見されていなことから、列柱廊は木造であった可能性が高い。北側の列柱廊の背後には、東西に長いもう一つの内廊下(壁内法で東西約62.0 m×南北約6.1 m)があり、さらにその背後に八つの小部屋が設けられている。これらの諸室の機能の把握には、ウィトルウィウス『建築十書』の記述以外に、考古学的遺物とのすり合わせを検討する必要がある。しかし全体として区画Vがパライストラであることを否定する要素はなく、ヘレニズム王宮の成立期においてパライストラが重要な役割を担っていたことを示す重要資料を入手できたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ペラ王宮建築の成立過程の解明を目標として、準備段階として令和元年度までに予備調査を終え、本研究課題にて令和2年度から調査と研究を実施してきた。令和2年度には本格的な現地調査を行う予定であったが、相手国の事情により現地調査を見送り、関連研究資料の入手や分析に切り替えた。しかし、令和3年度には現地調査を再開し、区画Ⅰについての現地実測調査によって詳細なデータを入手できたほか、現地考古学者と意見交換を行うことで、区画Ⅰの詳細な分析を実現できた。その結果として、区画Ⅰが二つの建設時期(フェーズ)に分けて平面復元を行っている。 令和4年度も現地調査を継続した結果、建物Vの実測調査を実現し、建築研究に必要なデータを現地で取得することができた。帰国後は、平面実測図の清書作業や建築部材の詳細実測図、ドローンによる遺構写真の整理を行い、その一部は学会等で報告を行っている。今後、建物の上部構造の復元はもとより、建替えやその内容についても分析が必要だが、まずはその必要資料が入手できた点が大きい。また区画Vの過去の発掘資料についても、現地ギリシアで発表されていた発掘年報が入手できたほか、パライストラ=青少年の教育体育施設に関連する研究論文、国際学会プロシーディングス等に発表された論文のほか、国内での関連研究も含めて、一部必要な資料が入手出来ている。調査結果から、区画Vはパライストラ=青少年の教育体育施設であることを否定する要素はなく、ヘレニズム王宮の成立にパライストラがどのように関係しているのかを検討するための重要資料を入手できた。 以上のことから、本研究課題の進捗状況は、現在までおおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の最終年度となる令和4年度予算の一部は、コロナ過による相手国の事情等により、令和5年度に繰り越しており、本研究課題として事実上の最終年度となる。令和2~4年度(実施は令和3~5年度)の最終年度としては、ペラ王宮の再発掘と並行して、隣接する他の区画の調査と分析に取り組むだけでなく、公的空間である区画Ⅰと私的空間である区画Vの調査資料に基づいて、ペラ王宮の空間構成の変化と特徴の一端を明らかにする必要がある。そのための方策には大きく二つあり、第一には、これまで通り現地調査を実施し、当該建物についての基本的な知見を蓄積すること。第二には、これまでの調査成果を広くヘレニズム王宮建築に関する既往研究とのすり合わせを通して、初期のヘレニズム王宮であるペラ王宮の成立過程を複眼視的に明らかにすることである。後者については、必要な既往研究の収集と分析に加えて、最新の研究資料の入手や研究者らとの意見交換をより活発化させるべく、欧米の関連研究所への出張も視野に入れることで研究の進捗を図っていく。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)