Project/Area Number |
20H02340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
青井 哲人 明治大学, 理工学部, 専任教授 (20278857)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥7,930,000 (Direct Cost: ¥6,100,000、Indirect Cost: ¥1,830,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
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Keywords | 領域史 / 軍事的(再)領土化 / 武装解除 / 台湾 / 清朝体制と日本植民地体制 / 台湾史 / 土牛界と隘勇線 / 竹圍 / 沖縄のグスク / 軍事的(再)領土化 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、17-20世紀前半の台湾における地域空間の編成を、軍事的な不安定化と秩序回復の視角から捉え直す。すなわち、清朝による「匪」(反政府武装集団)と「蕃」(原住民)の制圧が漢人商人資本の活動を促し、日本植民地権力による清朝の官・軍体制の解体が植民地産業資本の展開条件となったことに着眼し、主要な軍事過程と空間編成との関係に光を当てる。具体的には(A)地域空間の開発、(B)階層的な境界・囲繞装置の増強過程(清朝時代)、(C)それらの除却過程(日本植民地時代)の3現象を、本研究が設定する〈武装解除 disarmament〉の視座・枠組から解明し、その成果を総合することで動的な領域史像を描き直す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、17-20世紀の台湾史を、領土解体の危機と軍事的な再領土化の反復に着目して読み直す試みであり、とくに武装解除の論理とその後の地域開発の進展とを連続的に見ようとするところに特徴がある。2021年度研究計画は、(1)清朝時代の武装解除、(2)その武装解除後の境界・囲繞装置の建設・増強、(3)これら境界・囲繞装置の日本植民地期における撤去過程、の把握を目的とした。しかしながら、新型コロナ感染症流行の影響を受けて合理的な実現が困難であったことから、これらは文献研究により進めることとし、臨地調査による事例研究の対象として新たに沖縄を加えることとした。沖縄調査は、2021年度に第1回、また部分繰越後の2022年度に第2回を実施した。 文献による台湾の調査について、とくに興味深い重要な成果は、約1世紀を隔てて置きた台湾史の重要民変、林爽文事件(1786)ならびに戴潮春事件(1862)、さらに日清戦争後の台湾割譲を機に頻発した反乱である。前2社は、事件に加担した地主階層が台湾での地位を失い、代わりに反乱分子の平定・武装解除に貢献した家族に莫大な土地資産や開発権が清朝から与えられる、というパタンをとっている。林爽文事件は福建省の軍人政治在の一族が台湾に勢力を扶植する機会となり、戴潮春事件はすでに台湾での土地開発・交易商業について支配的な勢力をもつ一族がその地位を強化する機会となった。今後具体的な空間領域の編成との関わりに焦点を当てて研究を進めたい。 2021年度実施の沖縄調査では、背景としての沖縄南部の地形・地質、按司と呼ばれる中世の入植勢力によるグスク建設の状況を把握した。2022年度実施の沖縄調査では、彼らが武装解除されて近世の王朝体制が確立する過程ならびに太平洋戦争時の日本軍によるグスクと周辺集落の軍事的転用、沖縄戦での米軍によるさらなる転用について概要を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実績概要に述べたとおり、当初計画にはなかった沖縄調査を加えることとし、2021年度ならびに2022年度に臨地調査をしたが、研究代表者は台湾については豊富な経験と蓄積をもつものの、沖縄については基礎的な歴史的背景の把握から始めることになり、当初の目的に見合う成果を上げるにはやや遅れていると言わざるをえない。また、2021年度に進める予定であった台湾調査は実施できなかったため、この点でも当初計画に対して遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のとおり、2021年度に進める予定であった台湾調査が実施できなかったため、研究全体として、当初計画で見込んでいた成果を上げることは難しい状況である。また、研究計画の柔軟な見直しによって新たに調査対象に加えた沖縄についても、完成度の高い成果を上げることは難しいと判断される。2022年度に環境が改善し、台湾調査を実施できため、2023年度は本来の主眼であった台湾調査を優先し、植民地期を対象とするサブテーマを縮小する計画修正を行って研究をまとめたい。また沖縄については、本研究の着眼による研究展開の萌芽的な事例として位置づける方針としたい。
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