Project/Area Number |
20H02438
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26020:Inorganic materials and properties-related
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology (2022-2023) Kyoto University (2020-2021) |
Principal Investigator |
上田 純平 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (90633181)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,810,000 (Direct Cost: ¥13,700,000、Indirect Cost: ¥4,110,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2022: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,980,000 (Direct Cost: ¥4,600,000、Indirect Cost: ¥1,380,000)
Fiscal Year 2020: ¥7,020,000 (Direct Cost: ¥5,400,000、Indirect Cost: ¥1,620,000)
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Keywords | 蛍光体 / 長残光蛍光体 / 真空基準束縛エネルギー / 光イオン化 / 温度消光 / ホール移動 / 蓄光材料 / 応力発光体 / 光電導度 / 熱ルミネッセンス / 白色LED |
Outline of Research at the Start |
シャープな赤色発光を有するMn4+, Eu3+添加蛍光体が白色LED用可視蛍光体として利用・開発されつつある。しかしながら、白色LEDの高出力化による発熱により、これらの蛍光体においても温度消光が問題となるが、その消光プロセスは完全には解明されていない。近年、Ce3+やEu2+を添加したいくつかの蛍光体において、光照射により、一時的に電子が発光中心イオンから伝導帯へ移動する消光プロセスの存在を証明したが、Mn4+、Eu3+蛍光体においては光誘起ホール移動による温度消光プロセスの存在の可能性がある。本研究では、光誘起ホール移動型消光の証明と体系的理解を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
シャープな赤色発光を有するMn4+、Eu3+添加蛍光体が白色LED用可視蛍光体として利用・開発されつつある。しかしながら、白色LEDの高出力化による発熱により、これらの蛍光体においても温度消光が問題となるが、その消光プロセスは未解明である。近年、Ce3+やEu2+を添加したいくつかの蛍光体において、光誘起電子移動による消光プロセスの存在が証明されたが、Mn4+、Eu3+蛍光体においては光誘起ホール移動による温度消光プロセスの可能性があり、本課題では、光誘起ホール移動型消光の体系的理解を目指している。これまでの研究により、Y2O2S:Eu3+赤色蛍光体は、光励起によりEu3+のホールが熱活性化プロセスを介して価電子帯へ移動することによる消光を起こすことがわかった。よって価電子帯のエネルギー位置によって、この消光プロセスの起こりやすさが変化することが予測される。以上からY2O2S:Eu3+蛍光体のYサイトをLa, Gd, Luに変化させることにより、価電子帯エネルギー位置を制御することを試みた。実際に、Eu3+添加La2O2S, Gd2O2S, Lu2O2Sを作製し、光学特性評価から価電子帯エネルギー位置が変化していることを明らかにした。一方で、価電子帯エネルギー位置が単純にバンドギャップの序列に従わないこともわかった。また、作製したエネルギー準位図より、Eu3+の励起準位と価電子帯上端とのエネルギー差により、光誘起ホール移動消光のし易さを予測した。今後より詳細な発光温度特性評価を行い、価電子帯エネルギー位置との関係を調査し、ホール移動消光の証明を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光誘起ホール移動が観測されたY2O2S:Eu3+赤色蛍光体に着目し、Yサイトを他希土類イオン(La,Gd,Lu)で置換することにより、価電子帯エネルギーを変化させることに成功した。希土類イオンの励起準位から価電子帯へのホール移動は、価電子帯エネルギー位置で活性化エネルギーが変化するため、組成制御によって間接的にホール移動消光を証明できる。なお、価電子帯エネルギーの位置関係は、予想に反してバンドギャップの大小関係の序列とは異なることもわかった。この複雑な価電子帯エネルギー位置の変化はホール移動の消光プロセスにも影響する。このように、価電子帯エネルギー位置の制御とそのエネルギー位置の決定から、ホスト組成の違いによる光誘起ホール移動の消光のし易さを予測することに成功した。 以上より、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
Y2O2SのYサイトをLa,Gd,Luで置換したEu3+添加蛍光体は作製したので、詳細な発光強度の温度依存性と蛍光寿命の温度依存性を測定する。そして、得られた温度消光における活性化エネルギーと真空準位基準束縛エネルギー準位から予測した活性化エネルギーの大小関係を比較することで、光誘起ホール移動消光の可能性を議論する。 また、Eu3+に限らず、Yb3+やCr4+なども光ホールイオン化消光を示す可能性もあり、Yb3+やCr4+を添加した蛍光体を作製し、光学特性評価を行い、光誘起ホール移動に関して調査を行う。 また、真空準位を基準としたエネルギー準位図を用い、ホール移動が光誘起により生じる可能性があるかを様々な発光中心イオンやホスト組成で検証し、半経験的ではあるが理論的なアプローチによってもホール移動の起こりやすさを議論する。
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