光応答分子導入潤滑液表面における物質移動現象解明と小物体操作技術の確立
Project/Area Number |
20H02456
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26030:Composite materials and interfaces-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
真部 研吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (80848656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 美紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20415722)
穂苅 遼平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (20759998)
則包 恭央 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究グループ長 (50425740)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥17,940,000 (Direct Cost: ¥13,800,000、Indirect Cost: ¥4,140,000)
Fiscal Year 2022: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2021: ¥5,070,000 (Direct Cost: ¥3,900,000、Indirect Cost: ¥1,170,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
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Keywords | バイオミメティクス / 表面濡れ性 / 界面 / 光応答性分子 / 物質輸送 / ソフト・インターフェース / ウツボカズラ / Liquid-Infused Surface / 表面 |
Outline of Research at the Start |
小物体の運動制御は、マイクロロボットやドラッグデリバリー等で注目されているが、対象物以外の物質や形態の異なる物質、継続的な物質移動現象の発現は困難であった。また駆動力が小さいために、輸送効率が低いという課題がある。本研究では、ウツボカズラの機能を模倣し幅広い液体滑落性を示す液体注入表面より着想を得た、多様な物質を単一表面のみで操作できる潤滑液表面を創生する。液体/固体/気体を問わず、従来より大きな物質を表面上で操作・移動・輸送制御する技術の実現へと繋がる。更に、表面構造制御等とも合わせ、高効率物質操作技術を確立することで、これまでの物体運動制御分野の課題を克服する革新的アプローチを提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、ウツボカズラ等の生物模倣による表面機能を活用し、幅広い液体滑落性を示す液体注入表面、及び光で駆動可能な分子モーターとして注目を集める光応答性分子であるアゾベンゼン誘導体より着想を得た、光操作による物質の操作・輸送・制御を実現可能な光応答分子導入潤滑液表面を創生することを目標としている。本年度は、これまでの潤滑流体への分子モーターの導入の成功、その場観察も可能な評価分析機器の構築、操作・輸送・制御に繋げるための表面における超低摩擦化を実証したことを踏まえ、現象を再現よく引き出せるパラメータ条件の最適化とその現象の解明を実施した。疎水親油性に処理した基板表面上にアゾベンゼン誘導体を導入した潤滑油を濡れ広がらせ、その潤滑油面上で水滴を操作することを試みた。水滴後方部に紫外光を照射しながらその場観察を行ったところ、スペクトルピークが変化し潤滑油内部のアゾベンゼンがシス・トランスの光異性化を起こしていることが認められた。光吸収に伴い温度も変化し、その異性化と温度変化により表面張力が変化した。光異性化は流体内での濃度勾配を生み出し、水滴後方部に渦状の流れを引き起こした。この輸送表面は、エネルギーの観点から従来の10倍以上の輸送効率を発揮した。さらに接触角ヒステリシスが小さいことを利用し、輸送対象の液滴上で固体を輸送することにも成功した。今年度の成果をまとめ、特許1件の出願、論文1報の掲載、学会等発表8件へと繋げた。特に論文においては、Impact Factor 18.027、米国化学会最高峰論文誌に位置づけられているACS Nanoに掲載され、今年度までの成果が高く評価されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標に設定した、現象解明と効率的な物質輸送現象の探索を達成し、さらにその現象を用いて、先行研究では不可能であった固体の輸送も実現できている。また、それらを特許出願及び高IFの論文誌への掲載に繋げられ、学会等で外部発信も十分にできていることから、“当初の計画以上に進展している。”といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は順調に進展しており、今年度までに実施した基本的な現象部分をさらに詳細分析し、現象の普遍的な定式化に繋げる。また、基礎研究を応用研究へと発展させるため、再現性の高い物質輸送現状発現条件の探索を実施し、超効率輸送や物質の滑り・付着・濡れ特性の高度化に繋げる技術の研究開発を行うことに焦点を当てる。特に下地層や表面処理については、自己組織化によるナノからマイクロオーダーの制御および3Dプリンタ、レーザーエッチングによるマイクロからミリオーダーの制御を実施し、自己修復性や高耐久性、双極性濡れ性、超撥水性等の機能性を付与する。
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Report
(3 results)
Research Products
(18 results)